【#16】あなたはイチローと松井どっちが好き?《告白 松井秀喜》
内容(「BOOK」データベースより)
「人間・松井秀喜」の心の内側を、自らの言葉で語りつくす。
感想
巨人時代から2007年までのことを綴った松井秀喜の著書。野球少年なら、イチローの振り子打法のマネや松井の両肩をあげるフォームのマネはだれもが一度はしたことがあるはずだ。アベレージヒッターのイチロー、ホームランバッターの松井、ふたりは野球少年にとっての二大ヒーローだった。
ぼくは、昔からイチローがすきだった。一方で、松井はどうもすきになれなかった。というのも、松井はいつも当たり障りないことを言っているというか、ひょうひょうとしているというか、なんだか自分をさらけだしている感じがしないからだ。
反対にイチローは、いつも全力投球で、表面的なことをいわない。
でも、2012年に松井秀樹が引退会見を行った。そのときに、多くのテレビで松井の引退スペシャルの特番が組まれた。そこでは、松井がいかにファンに愛され、すばらしい選手であるかということが描かれていた。それに影響されたのか、松井のことを知りたいなあとおもい、この本をよむことにした。
読書メモ
1.スポーツには筋書きがない
自分にとって、一番幸せな時間は野球をしている時です。グラウンドにいられること自体が一番の幸せです。喜んだり、悔しかったり、悲しんだり。あれだけのたくさんの感情を味わえる場所は他にはありません。(中略)
アテネの五輪の柔道も感動しました。選手の感極まったシーンを目にすると胸にジーンを迫るものがあります。スポーツには筋書きがないから感情移入してしまうのかもしれません
2.新人王は平等である
他国からメジャーリーグに移籍した選手は、年齢やキャリアに関係なく一年目は新人王を目指すことができます(日本人選手が一年目で活躍し、新人王をとり始めたから)
ところが、日本人選手をマイナーから這い上がってきた選手と同じように新人として扱うのはおかしいという意見があります。でも僕から言わせれば、マイナーでの経験がもっとメジャーのボールに苦労しなかったかもしれない。おそらくもっと対応能力があがっていたかもしれない。ある意味僕たちは何も知らずにここに来てるんです。
そういう意味での難しさは必ずあります。いくらマイナーとはいえ、メジャーリーグの組織なわけですからそこでプレーした方が対応能力はあがると思います。
3.お互いが意識し合って初めてライバルとなる
シアトルマリナーズのイチローさんは走・攻・守がそろったトップレベルの選手です。よく僕らはライバルだとかメディアに書かれますが、僕はイチローさんを意識したことはありません。僕の中で選手と選手を比べるようなことはしません。そういうことは好きじゃないからです。
「個人対個人」そういう図式は考えません。お互いをお互いが初めて意識し合ってライバルとなるのです。たとえば野手同士をライバルと位置づけるのか、それとも投手と野手との闘いにライバルを見るのか...どちらも難しいことです。(中略)
メジャーの素晴らしい選手と比較されることは嬉しいことですが、自分にとってのライバルはいません。