【書評】「原点」勝ち続ける組織作り 原辰徳
◎内容と感想
読売巨人軍、現役監督、原辰徳監督がつづった一冊。そもそも巨人ファンでもない僕がこの本をなぜ読もうと思ったか。
それは、原監督が第二回WBC2009年で日本を優勝させたからである。WBCは第一回大会と第二回大会にはイチローが出場している。僕は、プロ野球チームで応援しているチームはないが、メジャーリーガーのイチローだけは本当に大好きである
そのイチローが不振にあえいだWBCで監督である原さんはどういうチーム作りをし、どのように優勝に導いたのか?
僕は、ただこれを知りたくこの本を手にした
本書には、原さんの生い立ちから始まり、父親が監督として就任していた東海大相模高校に進学した時の出来事や巨人軍としてコーチで学んだことなど今の原辰徳を知るには、すごくいい。
当然WBC2009年に関しても言及されている。何より面白かったのは、スコアラーから見たWBC2009年が書かれていたことだ。3ページほどだが、WBCの裏方スタッフとしてスコアラーを務めた人から見た原辰徳監督の采配について書かれているのだ
この本を読んで思ったのは、原さんはどこまでいっても「明るい」のだと思った。よく原辰徳という人物を示す時に出てくる言葉が「明るい」WBC2009年の内野守備総合コーチである高代さんもそう自著で語っている。
また、この本に綴られている言葉一つ一つも明るいのだ。原さんが生きている中で苦しくて苦しくて、どうしようもなかったという出来事などは一つもないように感じ取れた
強いて言うのであれば、高校時代と大学時代に関しての出来事であろう。ジャイアンツファンならしかり、野球ファンならぜひ読んでいただきたい一冊だ
◎読書メモ
1.基本とは原点に帰るということ
2.監督やコーチは中間管理職。
コーチに自分の意図をすべて話してはいけない。自分の言いたい事を10割言うのでなく、8割ほど伝えて、残りはコーチに任せる。コーチはもっと大変である。コーチがAだと思っていることに対して監督が全く
逆のBという戦略でいく場合もある。その時は、選手にも当然その戦略を伝えねばならない。そこで選手から「原さん、そこはBの方がいいのでは?」と言われた時に「俺はそう思うんだけど、監督がなぁ...」と言っては、チームが一つにならない。むしろチームが崩壊する可能性だってある。その時こそコーチの器量が試される時である
3.父が監督をしている東海大相模高校に入学する前に父はこういった。
「おまえが、他の選手と5分と5分であれば、他の選手を起用する。おまえが6で他が4でも俺はおまえを補欠にする。おまえが7になって初めておまえを起用するかどうか考える」
だから、チームメイトからよく同情されたし、先輩も不憫に思いかわいがってくれた。そうしないとチームの和をとることができないからである