読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

200冊読んだぼくがガチでオススメする8冊

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本の感想をぼちぼち書いていたら、いつの間にやら200冊突破したので、いままで読んだなかで、自分がおもしろかったと思う8冊を紹介します。

ジャンルはバラバラ。ただし、ページ数が多いのばかり紹介してるから、お休みの日に読むことをオススメします。

 

ある日突然我が子がじぶんの子どもじゃないと分かったら?

ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)

ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)

 

福山雅治が主演だった映画「そして父になる」の原作。あなたは愛情をかけて育てていた我が子が、ある日突然じぶんの子どもでないと言われたらどうするだろうか?

これは、実際に起きた赤ちゃん取り違え事件をもとにしたノンフィクションだ。赤ちゃん取り違え事件、というと大変な問題だ!と多くのひとが思うかもしれないが、じつは昔からたびたび起きていた。

しかし、その多くの場合は数日や数ヶ月、遅くて1年や2年で自分の子どもでないことに気づくケースがほとんど。だから、すぐにお互いの親が子どもを交換し、子どもが育っていく上ではとくに問題がないことが多かった。

しかし、本書で取り上げているケースは、取り違えに気づいたのが6年後。つまり、子どもが6歳のときに、お互いの家庭が気づいたというわけだ。6歳といえば、幼児を卒業して、小学校に入学するくらいの年ごろ。あまりにも年月が経ちすぎている。当然、子どもは両親のことをしっかりと認識している。

そんな状態で、お互いの子どもを取り替えるわけだから、当然いろいろな問題が立ちふさがる。なぜこのような事件が起こってしまったのか?子どもたちはどうなったのか?

さすがノンフィクション!といったところか。なぜなら、エンディングは決して後味のよいものではないからだ。

 

日本でただひとりの東大卒のプロゲーマー

東大卒プロゲーマー (PHP新書)

東大卒プロゲーマー (PHP新書)

 

2014年に読んだ新書のなかでいちばんよかった。ゲーム好きは、一度はゲームばっかりして過ごしたいなぁとぼんやりと思ったことがあるだろう。

現在、日本でプロゲーマーとして活躍しているのは約10人ほどと言われている。そのなかのひとりであるときどさん。

プロゲーマーと聞くと、幼いころから家にひきこもり、ゲーム一筋のひとがなるようなイメージだが、ときどさんはちがう。17歳のときに世界大会に優勝するが、東京大学に入学後、ゲームの世界から身を退いている。

それはゲームの世界に飽きたということでなく、大学の研究に目覚めたからだ。そこから研究に情熱をそそぎ、研究者としての道を目指したが、大学院の受験に失敗。泣く泣く第二希望の研究室に入る。

第一希望の研究室に入れなかったときどさんは、研究への情熱を失ってしまう。そうして、紆余曲折を経てゲームの世界にふたたび飛び込み、プロゲーマーとして生きてゆく決意をする。そんな話なんだけど、とりあえずゲーム好きはぜったい楽しめるから読んでほしい。

 

2014年度No1のビジネス書

「世界に誇れる日本人ってだれ?」ときかれたら、イチローファンの僕はまっさきに「イチロー!」と答えるだろう。

でも、この本を読んで誇れるひとが増えた。それが著者のケニア・ナッツ・カンパニーの創業者である佐藤芳之さん。

20代からケニアで過ごし、75歳を超えても、挑戦する場所をケニアからルワンダに移し、いまも経営の第一線に立っている。よくフローレンスの駒崎さんやマザーハウスの山口絵理子さんがソーシャルビジネスを日本に広めたと言われるけれど、佐藤さんはこの2人よりずっと前からソーシャルビジネスに取り組んでいた。

佐藤さんについて語る上でかかせないエピソードは、順調に売り上げも利益も伸ばしていたケニア・ナッツ・カンパニーの株と経営権を地元のひとにタダ同然で譲渡したこと。当時の株を金額に換算すると、数十億円。なぜそんなことをしたのか?ということについてはぜひ本書で。日本の誇れるビジネスマンの物語です。

 

たった一匹のネコとの出会いが人生を変える、そんな物語 

ボブという名のストリート・キャット

ボブという名のストリート・キャット

 

主人公のジェームズ・ボーエンさんはプロのミュージシャンを夢見る若者。毎日バスキング(路上演奏)をするも、稼げるお金はほんのわずか。この辛い現実から逃げるためにジェームズさんは薬物に手を染める。

そんなときに出会ったのが一匹の野良ネコ。ジェームズさんは、このネコをボブと名付ける。以降、ボブはジェームズさんのバスキングにも付き合うことに。

すると不思議な出来事が次々と起こりだす。なぜか、ボブがバスキングに付き合うようになってから、稼げるお金が日に日に増える。ジェームズさんの演奏をききたくて、足を止めていくひとも増えていく。いったいなぜだろうか。

この話、うそのように聞こえるけどほんとの話。ネコは幸せをよぶというけど、まさにそのとおり。本書は瞬く間にベストセラーとなり、ジェームズさんはその印税をほとんど寄付。その理由はぜひ本書で。こころがポカポカするような温かいお話です。

 

3月11日のあの日、命をかけて日本を守ったひとがいる

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

 

2011年3月11日。東日本大震災が起こり、多くのひとが亡くなりました。その一方で、日本のために命をかけて闘っていたひとたちがいる。本書の主人公である吉田昌郎さん。福島原子力発電所の所長だ。「吉田調書」ならば、一度は耳にしたことがあるだろう。

その吉田さんが3.11のあの日、どんな対応をとったのか、3.11以後どのような行動をとってきたのか、そんなことについて書かれている。

次々と起こるトラブルに追われる吉田さん。一号機、三号機が水蒸気爆発を起こし、二号機も格納容器圧力が上昇し始めたとき、吉田所長は格納容器爆発が起こる可能性を考え、最小人数を中央制御室に残し、そのほかの人々を退避させようとする。

残った人間は、皆「死」を覚悟した人間だけ。そのときのことを管理職だった伊沢さんはこう思っていたという。

『それより、こいつまで殺しちゃうのか、と心配しなくちゃいけない人間はみんないなくなって、”死んでいい人間”だけになりましたから。悲壮感っていうよりも、どこか爽やかな感じがありました』

あの日、原子力発電所内でどんなことが起きていたのか。現場の職員からの目線で語ったこれほどの本はほかにはないだろう。

 

ルイ16世の首を刎ねた男

死刑執行人というと、極悪非道な人物のイメージだが、本書を読めば、むしろ真っ当なひとだと感じる。死刑の数だけひとを殺めてきたのも事実だが、じつは、医業を副業とし、多くの人々をケガや病から救っている。

だが、その仕事柄のせいか、人々から忌み嫌われている職業だったのも事実。しかも、この職は世襲制。親が死刑執行人であれば、子もその職につくことが必然だった。

その死刑執行人を古くから生業にしているのが、このサンソン家。本書はこのサンソン家の歴史とともに、フランスの歴史も学べる内容となっている。世界史が好きなひとはぜひ読んでほしい一冊だ。

《本書にも登場するシャルル=アンリ・サンソンが主人公のまんがもあります》

イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)

イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)

 

 

先生目指してるひとはこの指とまれ

ベストセラー五体不満足乙武さんが教員生活3年間での出来事を小説化にしたもの。だから、どこまでが事実でどこまでがフィクションなのかすごくきになるところである。同僚の紺野先生との飲みの席で、紺野先生があのSMAPの"世界にひとつだけの花"を批判したシーンがいちばん心にのこっている。

 

「俺、あの世界に一つだけの"あんまし好きじゃないんだよね」と。続けて彼はこう言った。

 

「あの曲ってさ、俺らの30代の人間にはぴったりの曲なんだよ。まあ30代となれば、これから能力がぐんと伸びることはないし、新たな才能が開花するというケースもめったにないじゃん?言葉は悪くなるけどさ、"頭打ち"の状態だと思うんだよ」

 

「でも、現実はそうじゃないじゃん?その時にさ、『一番になんかならなくていい。君は君のままでいい』と言われたらさ、なんか救われた気持ちにならないか?」

 

「俺らにはぴったりな曲かもしれない。でも子供達にとってはどうだろう。名曲ではないんじゃないかな。さっきも言ったけど、俺らは頭打ちの状態。子供達は違うよな。あいつらにはまだまだナンバーワンになれる可能性がある。それなのに『ナンバーワンにならなくていい』って。初めから逃げることを教えてどーすんだよ?って俺は思っちゃうわけよ」

 

「結果的に一番になることが重要じゃない。でも一番になろうとする努力は大事。その努力が自分の能力を伸ばすことになるだろうし、逆に報われない経験を通じて、挫折という大きな体験を自身が手にすることができる」

 

「挫折って俺は大事なんだと思う。挫折を繰り返して自分はどんな人間なのか?自分はどういった分野に向いているのか?そういったことの連続で成長するんじゃない」

 

教育というものを見つめ直せるこの一冊。教員を目指しているひと、教育学部にいるひとにはおすすめの本です。

ベストセラーにはワケがある

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット

 

舞台はフランスのルーブル美術館。ある日、館長のジャック・ソニエールは裸に仰向け、身体には自分の血で書いた五芒星が刻まれ、そして床にはなぜか主人公であるロバート・ラングドンの名前が書かれていた。どう見ても不審な遺体。じつは、そこにはジャック・ソニエールが残した難解の暗号であり、その暗号には重大な秘密が隠されていた...

 

本書はミステリー小説でもあり、歴史小説でもあり、美術小説でもある。歴史や美術のことが詳しくないひとでも、純粋にミステリー小説としてよめるのがこのダ・ヴィンチ・コードのすごいところ。

モナ・リザはもちろん、人体図を描いたウィトルウィウス人体図、最後の晩餐などが出てくるから美術に興味があるひとにとっては嬉しいだろうし、コンスタンティヌス帝やニケーア公会議なども出てくるから世界史を勉強していた者にとってはなつかしく感じるだろう。

仮に、美術・世界史ともに興味がなくても話の展開に引き込まれるので、美術やら世界史について深く書かれているところは飛ばしてもだいじょうぶ。

読み終えたとき、なぜ本書がベストセラーとなったのかきっとわかるだろう。なぜなら、それほど満足させられる一冊だからだ。