介助犬を育てる少女たち 大塚敦子
介助犬を育てる少女たち -荒れた心の扉を開くドッグ・プログラム-
- 作者: 大塚敦子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/14
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
シエラ・ユース・センターと呼ばれるアメリカの更生施設(日本の少年院みたいなところ)で、収容されている少女たちが介助犬を育てることでひとつひとつ学びを得て、更生してゆくというノンフィクション。
シエラに来るのは、麻薬や凶器の不法所持、窃盗や暴行などをした12歳〜18歳の子たち。複雑で不安定な家庭環境で育った子が多い。両親がともに元気で仲よく、お金に苦労しない生活をしてきた、というような子はまずいない。自分の親が誰が誰か知らない子、虐待を受けた子、親に置き去りにされた子....。
そんな子たちを更生させるために、シエラでは、ヨガやアート、ガールスカウトや料理教室など、様々なプログラムを用意している。そのなかで最も人気なのが、ドッグプログラムと呼ばれる介助犬を訓練する授業。
では、なぜ介助犬を訓練するプログラムが用意されているのだろうか?介助犬を世に送り出したボニー博士は本書のなかでこう言っている。
「非行をする子どもたちの多くは感情のコントロールが苦手で、開いてが自分の思いどおりにならないとすぐカッとなってしまう。でも、そんな子たちでも、犬が相手だと、どうやって意思を通じあわせるか、一生懸命努力するはずです。
なぜなら、犬は自分に愛情をかけてくれる相手を、無条件で信頼し、愛する動物だから。そんな愛し方は人間にはなかなかできません。家でも学校でも、彼らはいやというほど言われています。いまのままのあなたじゃだめよ、もっといい子になって、と。どんなに問題のある子であろうと、その子をあるがままに愛することができるのは、犬たちだけ。だからこそ、犬たちにはその子を変える力があるんです」
ふむふむなるほど。犬は愛情を注いだ分だけ、かえしてくれる、甘えてくれる。だから彼女たちは心温まるのかもしれない。そして、自分が訓練している犬が一歩づつ成長してゆく姿をみることが彼女たちになんらかのいい影響を及ぼしているのだとおもう。