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読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

警察に見捨てられた国ーギャングとマフィアが君臨する暗黒帝国《メキシコ麻薬戦争 ヨアン・グリロ》

陰謀と暴力に支配されたこの国で、いったいどれだけのひとが殺されたのだろうか。

 

金と麻薬が交錯し、麻薬ギャングが圧倒的な力を持つ地、メキシコ合衆国

1つの連邦区と31の州にわかれたこの国で、100年近くギャングの抗争が続いている。今日もまたその争いに罪のない人々が巻き込まれ、次々と命を落としている。

 

独立記念日を祝う群衆に手りゅう弾が投げ込まれた事件。殺害された犠牲者の顔がサッカーボールに縫い付けられていた事件。古い銀山の採掘坑から五十六体もの腐敗死体が発見され、そのうちのいくつかは生きたまま投げ込まれたことが判明したりもした。さらに妊婦を含む七十二人の移民が誘拐され殺害されたこともあった。(中略)

 

信じられないかもしれないが、これらはフィクションではない。すべてメキシコで起きた出来事だ。

2013年のメキシコのGDPは1兆2609億ドルであり、世界15位の先進国である。世界規模の企業が多数集まり、若者の四人に一人は大学に行き、高学歴な中産階級を抱えている。そんな国でいったいなぜこのような悲惨な出来事が起こるのか。

それはこの国がギャングによって支配されているからだ。メキシコのギャングは残虐性を兼ね備え、必ず報復を行う。相手が警察だろうと軍だろうと一般人だろうと関係ない。

 

メキシコのギャングは、警察署に銃弾とロケットプロペラ付きの手りゅう弾を雨あられと打ち込み、多数の警官を誘拐し、人目に付くところにそのバラバラ死体を遺棄する。市長を誘拐して縛り上げ、幹線道路で石打ちにして殺したこともあった。これが国家権力に対する挑戦でなくてなんなのか?

 

警察署が襲撃され、警官や市長が誘拐される。日本では到底ありえないことがメキシコでは日常的に起きている。麻薬ギャングを根絶しようとした正義感あふれる警察署長が署長に就任してから6時間後、二人のガンマンに狙撃され、死亡したこともあった。

それだけではない。警察がギャングに手を貸すケースもある。警察はワイロと引き換えにギャングのサポートを行う。

 

最後にゴンサロ(かつて麻薬ギャングだった人物)はギャングにいちばんのサポートになっているのが警察だ、と述べた。マフィアと結託した地元警察はその一角を通行止めにし、シカリオ(殺し屋)たちが仕事をできるようにする。殺人部隊の車が無事に走り去った後で、彼らがやってるくることになっているのだ。

さらにギャングたちは、警察の職務質問にあっても「保護されている」と承認されるためのコードナンバーを使い、関門を何の問題もなく通過できることも多い。そんなことが実際にあるとは信じがたいが、多くのマフィアが警察の尋問の中で認めている。

 

警察官が犯罪者のために手を貸しているなんて信じられないことだ。しかし、大統領とその弟が麻薬取引に関与し、マフィアから金を受け取っていたこともあった。

国のトップである大統領が汚職を行い、国を守るべき警察官もマフィアに手を貸す。いったいこの国で誰を信じればいいのだろうか。

 

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

 

 

本書は400ページにわたりメキシコ麻薬戦争について歴史背景から詳しく書かれている。ギャングを捕まえ刑務所にぶちこんでも、刑務官にワイロを渡し脱走する。マフィアの親玉を殺しても次のマフィアの親玉争いがはじまり、死傷者が増える。

この終わりのない闘いをぜひ手にとって感じるといいだろう。

 


最近公開されたボーダーライン。麻薬組織と戦う女捜査官の成長を描いたストーリー


麻薬組織に立ち向かうことを決めたひとりの町医者のストーリー

 

読書めも

・ヘロイン、マリファナ、コカインの違い

・シシリア・ファルコン自伝

・PRI

・殺人事件や麻薬に関する事件が多すぎて、捜査しきれていない。

・運び屋は麻薬を運んでいることを知らずにさせられるケースも多い。

・軍隊を投入しても、戦いが長引き、マフィアを捕まえることができない軍隊側に秩序が乱れ、レイプや強奪がおきる。

・未成年者はどれだけひとを殺そうが5年までの実刑判決しか受けない

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