読書めも

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キム・ジョンイルに命を狙われた少女《生きるための選択ー少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った》

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

 

北朝鮮民主主義共和国。あなたはこの国の名前を聞いたとき、どんなイメージが思い浮かぶだろうか。『核兵器をもっている国』『キム・ジョンイルの独裁政治』『日本人を拉致する』

申し訳ないのだけど、ぼく自身の北朝鮮に対する認識はその程度にすぎなかった。それもそのはず。ごく最近まで、北朝鮮の実態は明らかにされていなかったからだ。

 

2014年初頭まで、韓国人を含む世界のほとんどの人が、核開発と奇妙な髪型の独裁的な最高指導者を通じてしか、北朝鮮を知らなかった。でも、2月に、国連北朝鮮の人権侵害の実態についてまとめた報告書を公表した。虐殺やレイプや国民を故意に飢えさせるといった人権侵害が告発されたことで、はじめて北朝鮮の指導者が人道に対する罪で国際刑事裁判所に訴えられかねない事態になった。

 

人権侵害の実態、国際刑事裁判所に持ちこまれるほどの案件、いったい北朝鮮ではなにが起きていたのか?

 

本書はその北朝鮮に生まれ、その生まれ故郷を脱出した少女の手記である。13歳で見知らぬ中国人との性行為、人身売買の手伝い、姉との別れを経験したパク・ヨンミさん。

壮絶な人生とはまさにこのことだろう。非常に重く、生々しい北朝鮮の実態が本書を通じて見えてくる。小学生の通学路に死体が転がっている、これが北朝鮮の日常だ。

北朝鮮社会主義だが、それは表面的なものに過ぎず、土地の売買も、手術を受けるのも、兵役を免除してもらうのも、違う地域に行くにもすべてワイロが必要だ。ワイロなしでは生きていけない世界であり、もはやワイロが外国のチップのようになっている。

自由に商売することも許されず、自己表現も許されない。なにもかも国家によって管理・制限される。にもかかわらず、国からの配給はほとんどなく、多くの人々が餓死寸前。

そのくせルールを破った者には厳しいペナルティが待っている。しかも罰を受けるのはその者だけではない。家族・親戚にもその火の粉がかかり、その罪は先祖代々受け継がれることになる。

ヨンミさんは脱北し、最終的に韓国に行ったから、当然彼女も命を狙われている。それほど、北朝鮮では脱北という行為が重罪なのだ。

ひとりの少女を通して見る北朝鮮の歴史と驚くべきその実態。きっと本書を読みおえたとき、あなたは北朝鮮=拉致の国、というイメージが崩れるだろう。

7つの名前を持つ少女

7つの名前を持つ少女

 

最近発売されたべつの脱北者の手記。今度はこちらを読んでみる。

 

読書めも

1.ガチガチに制限された国、北朝鮮

自分の意見を言ったり、疑問を口にしたりしてはいけないと教えられた。とにかく、政府に命じられたとおりのことをやり、言い、考えろと教えられた。親愛なる指導者・キムジョンイルには私たちの心が読めて、悪いことを考えたら罰せられると本気で信じていた。

たとえキムジョンイルが聞いていなくとも、スパイがそこらじゅうにいて、窓に聞き耳を立て、学校の校庭に目を光らせていた。

 

2.北朝鮮女性の需要の高まり

北朝鮮女性は中国の地方の農村部では需要が大きい。というのも、中国人の女性が少ないからだ。中国には人口増加を抑えるためのひとりっ子政策があり、文化的に男の子が望まれる傾向が強い。悲しいことだが、多くの女の赤ちゃんが堕胎されたり、生まれてすぐにこっそり殺されたりしている。

その結果、男の子の割合が大きくなり、成長した男性の結婚相手となる女性が不足することになった。地方の農村部では男女比の偏りがとくに大きい。地元の若い女性が仕事やいい暮らしを求めて都会へ行ってしまうのだ。

 

3.あなたはどう思う?という質問が嫌いだった

北朝鮮の学校では、なんでも丸暗記するよう教えられるし、ほとんどの場合に正解はひとつしかない。だから、教師に好きな色を尋ねられたとき、私は必死に"正解"を出そうとした。あるものがべつのものよりいいと考えられる理由を合理的に判断する、そういう批判的思考のやりかたを教わったことがなかった。(中略)

韓国にきて、最初のうちは「あなたはどう思う?」という質問が嫌いだった。私の意見なんて誰が気にするんだろうと思っていた。自分の頭で考えられるようになり、自分の意見が大事な理由を理解できるようになるまでには、長い時間がかかった。

 

・教科書で学んだ「共産主義」「社会主義」ということばを深く理解することができる。

・国家を第一とする考えであり、つまり国のために働く公務員がいちばん偉いとされている。そして、お金も公務員に流れるようになっている。

・中国に脱北しても、安い労働力として搾取される。訴えたくても、雇用者に気に入られなければ、通報され北朝鮮にいつでも送りかえされてしまう。

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