読書めも

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著作権はなぜ、むずかしいのか?《2ちゃんねるで学ぶ著作権 牧野和夫 西村博之》

2ちゃんねるで学ぶ著作権

2ちゃんねるで学ぶ著作権

 

内容(アマゾンより)

著作権とは何か。著作物の定義は? 著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物 と定義していますが、はっきりいって何だかわかりません。では、「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!」は著作物なのか。だとすると「キタ ━━━━━━\(゚∀゚)/━━━━━━!!!!」は翻案権の侵害?

ブログや「mixiミクシィ)」のようなSNSソーシャル・ネットワーキングサイト)で誰もが著作物を公開する側になっている一方で、他人の著作物を 簡単にコピー&ペーストできるのもネットワークコンテンツの特徴です。著作権法違反で訴えられないよう自分の身を守ったり、自分の発言が無断に本にされた りしないために、著作権の知識は欠かせません。

本書では2ちゃんねるを題材に、元アップルコンピュータ法務部長で大宮法科大学院大学教授の牧野和夫弁護士が2ちゃんねる管理人の西村博之氏と著作権につ いて議論しています。新聞社の記事を掲示板に投稿したときの問題、掲示板サイトの内容を無断に編集したまとめサイトの問題点など、「最前線」である2ちゃ んねるをテーマに、著作権がわかる1冊です。

2ちゃんねる管理人である西村博之氏の考え方がわかるのも本書の特徴です。利用者1000万人以上といわれる国内最大のコミュニティサイトの運営者が抱える悩みを牧野和夫弁護士が解決。コミュニティサイトの運営者が利用規約をどのように定めるべきかのヒントがあります。

感想

対談形式だからよみやすい。でも、やっぱり著作権ってむずかしい。

そもそも、なんで著作権ってむずかしく感じるんだろうか。

まずひとつ考えられる理由として、著作権の定義がややこしいからだろう。

なにに著作権が与えられて、どれが著作物なのか、わからなくなる。これって著作権発生してるの!?なんてことも。その著作権について牧野先生はこう説明している。

牧野2ちゃんねるでいうと、ある書き込みが思想や感情の創作的な表現であれば、すべて著作物として保護されます。書き込みが著作物であれば、たとえ2ちゃんねる内であっても、その書き込みを書いた人に著作権が発生します。

ひろゆき:へぇ、なにもしなくても権利が発生するんですか?

牧野:そのとおりです。特許や商標のように、役所に申請しなくても権利が発生するんです。

 「思想や感情の創作的な表現」というのがむずかしい。たとえば、本やブログが著作物なのはなんとなくわかる。

じゃあ、顔文字はどうだろうか?

たとえば、キタ―――(゚∀゚)―――― !! とか。

牧野:基本的に「思想又は感情を創作的に表現したもの 」であれば著作物ですので、顔文字に著作権が認められる場合もあるでしょう。「キタ―――(゚∀゚)―――― !! 」がなにかの感情表現であれば、著作物かもしれませんね。

ただし、短いフレーズに著作権が発生しないとするのが日本の法律の立場とのこと。だから、テレビ番組のタイトルをパクられたり、漫画やドラマの一部のセリフをパクられても侵害されたと訴えるのはむずかしい。

一方で、顔文字に著作権は与えられないかもしれないが、アスキーアートのように複雑に構成された作品には著作物としてみなされる可能性はあるみたい。

 

その著作権の性質に関して、牧野先生はこう言っている。

牧野著作権って面白くて、たしかに「言い得」の側面もあります。だから、「Copyright◯◯◯◯All Rights Reserved.」や「©」で、自分の著作物だと主張するわけです。一方で「侵害損」という面もあって、侵害されちゃうとなかなか対抗しづらい。本当に侵害なのか。似ているけれど、本当に自分の著作物を真似て作ったのかどうか。

ひろゆき:ほら、言ったもの勝ちっすよ。

編集部:( ̄Д ̄ )エー

牧野:もちろん、オリジナルを改変したものなら翻案権の侵害になるのですが、証明は難しいです。著作権は権利主張が自由にできる反面、侵害に対しても弱い面があるんです。国が付与する権利ではないですからね。

著作権は、特許庁が認める特許や商標のような権利ではない。だから、著作物をつくった時点でだれもがかんたんに著作権の権利を手にすることができる。

でも、特許のような国のお墨付きの強力な権利とちがうので、侵害されたとき、守ることがむずかしいわけだ。

と、まあ著作権の基礎から、実際に2ちゃんねるで起こった著作権侵害の事例までかかれているので、著作権の入門書としてはいいかもしれない。

読書メモ

著作権ー①著作人格権②著作権

・①は、名誉とかプライドを守る権利。たとえば、つくった本人が公表したくなければ、他人は勝手に公表できないとか。②は、お金もうけをできる権利。著作物をキャラクター化したり、グッズにしたり。

→①は、著作者のみに与えられる権利で、譲渡できない権利。②は譲渡できる権利。

クリエイターやインターネットで活動するひと向けの著作権の入門書