読書めも

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31歳で胃がんになったニュースキャスター《未来のことは未来の私にまかせよう 黒木奈々》

ameblo.jp

元キャスターで現在闘病中の小林麻央さんがブログで、25日間の放射線治療が終了したことを発表した。

小林さんは乳がんのステージⅣだから、まだまだ予断を許さない状況ではあるが、とりあえずひと段落といったところだろうか。この治療をしたことでよりいい方向に進んでほしい。

 

いままで女性キャスターで「がん」だと発表したのは小林さんだけだと思っていたが、実はもうひとりいることを最近知った。

NHKBS放送の「国際報道2014」のキャスターだった黒木奈々さんだ。

 

 

小林さんは「乳がん」だったが、黒木さんは「胃がん」だった。

2014年7月27日、黒木さんは学生時代の友人たちと食事をしている際に、突如胃に激痛が走り、その場に倒れた。

すぐに救急車で搬送され、急性胃潰瘍だとわかったが、後日「胃がん」であることが発覚した。

がんだと発覚したとき、まっさきに頭に浮かんだのは「自分の身体の心配」ではなく、「仕事」のことだった。

 

そして、次に私の頭をかけめぐったのは、自分の体の心配ではなかった。「ああ、今日で番組降板になるんだ...「キャスター」は私の人生そのものなのに。努力してやっとつかんだチャンスなのにー」

番組が始まってまだ四カ月なのに。なんで、なんで... ...。急に涙があふれ出てきた。

 

がんだと告知されたら、ふつう自分の身体や寿命について心配しそうだが、黒木さんの場合はちがった。まず最初に仕事の心配をしたのだ。いったいなぜなのか。

それはキャスターという仕事に対して、半端ないほどの情熱を捧げていたからだ。

小学生のときにキャスターになることを志し、アナウンサースクールにも通った。しかし、就職活動ではすべてのキャスター試験に落ち、最終的に報道記者として毎日放送MBS)に入社。報道記者からキャスターになろうと試みたが、断念し、フリーアナウンサーに。

キャスターは呼称、アナウンサーは職の名前

 

黒木さんのように容姿端麗、頭脳明晰(大学は上智でフランス語ペラペラ)のひとでも、メインキャスターの座をつかむまでに9年の歳月がかかっている。本書を読むと、キャスターへの道がこんなにも険しいのかとたびたび思わされる。

 

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本書は「がん闘病記」ではあるけれど、お涙ちょうだい的な内容ではない。ルポ的に黒木さんの日常が淡々と書かれている。サクサク読めるからあっという間に読めるだろう。

本書を読んで、自分の父のことを思い出した。7年前、父は「硬膜化血腫」で倒れた。当時は半身麻痺が残るだろうと言われたが、50代だったこともあり、いまではピンピンしている。

結局、2ヶ月ほどの入院だったが、いつだったか父に入院したときに何を考えてたのか訊いたことがある。

すると、「仕事のこと」と答えた。当時ぼくは大学一年生だったんだけど、わりと衝撃的だった。

「自分の今後について」や「ずっと泣いていた母のこと」ではなく、「仕事のこと」と答えたからだ。

父にしても、黒木さんにしても仕事が好きなのだ。仕事に対する熱い想いを持っていたり、一生懸命打ち込むひとはかっこいい。本書を読めば、黒木さんがキャスターに対して並々ならぬ想いを持ちながら仕事に取り組んでいたことをヒシヒシと感じることができる。

 

さてさて、話が脱線してしまったが、黒木さんはがん発覚後、世間に自分の病を公表した。その後、胃がん手術、抗がん剤治療を受け、2015年1月4日の『国際報道2015』に1日限定で4ヶ月ぶりの復帰を果たす。

さらに3月には月曜限定で同番組に復帰。抗がん剤治療は順調のように見られた。

しかし、7月に体調を崩し、8月に入院。そして、9月19日、家族に看取られながら亡くなった。32歳の若さだった。

 

もし、これを読んでいるひとが「ここ数年健康診断なんて受けてないよ」というひとだったら、すぐに健康診断と人間ドックを受けてほしい。

黒木さんはフリーのアナウンサーだったこともあり、会社勤めの人とは違って、年に一回の健康診断がなかったのだ。

とはいえ、黒木さんは身体の調子がおかしかったら、その都度病院に通っていた。血液検査やレントゲンは撮っていたが、胃カメラや全身の検査は行っていなかった。がんになった後、黒木さんは入念な検査を定期的に受けるべきだったと後悔している。

ぜひとも健康診断に行っていないひとは、いますぐに行ってほしい。

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