読書めも

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【#206】自分の子どもに読み聞かせたい児童書《コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 佐藤さとる》

あらすじ

本書は児童文学なんだけど、ふつうに大人が読んでもおもしろい。あらすじはこんな感じ。

主人公(ぼく)は、もちの木をさがしに山に行くと、こぼしさまと呼ばれる小指サイズの小人に出会う。こぼしさまの存在は、近所に住んでいるおばあさんから聞いたことがあり、なんでも大昔から山の地中に住んでおり、あるときを境に人間のもとに姿を現さなくなったという。主人公とこぼしさまはすこしずつ仲良くなっていくが、あるとき国が新しい道路をつくるために、こぼしさまが住んでいる山がつぶされることになり...

 

「だれも知らない小さな国」は、1959年に発行され、1959年度毎日出版文化賞、1960年度児童文学者協会児童文学新人賞、また国際アンデルセン国内賞を受賞。さらにはアニメ化もされ、2014年に小説家の有川浩さんによってリメイクされた。

まあつまり人気がある本なんだけど、小人の存在と秘密基地感が子どもの心をつかんだのかなあと思う。

童話・おとぎ話によく登場する小人

たとえば、ガリバー旅行記や白雪姫、ミツバチの女王。これらのおとぎ話には小人が登場する。一寸法師やおやゆびひめは、主人公が小人だ。映画ならば、ロードオブザリングのドワーフも小人の仲間だ。小人はおとぎ話や童話に欠かせない存在なのだろう。

本書で登場する小人は、こぼしさまだ。こぼしさまの特徴は「速さ」。動くのも話すのも速い。とにかく俊敏だ。そして、いろいろなこぼしさまがいるのもおもしろい。年配のこぼしさま、すこしぽっちゃりしたこぼしさま、女の子のようなこぼしさま。いろいろなこぼしさまの存在に子どもたちは心うばわれるのだろう。

秘密基地感

本書の舞台は山だ。こぼしさまも山の地中に住んでいる。そして、主人公もやがて山に小屋を建て、住むことになる。この小屋を建てるプロセスや小屋で過ごしている時間の描写がいい。小学校のときに友だちとつくった秘密基地のような感じがする。なんだか自分たちしか知らない場所的な、そんな感じ。

ぼくの場合、小屋をつくったわけではないけど、近所の田んぼにおおきな土管があってそこを秘密基地にしていた。そこにカードゲームやらベイブレードやらを持っていって幼なじみと遊んだおぼえがある。たしか秘密基地の名前は「マルみえ基地」。いまとなってはなぜマルみえ基地と名付けたのかはおぼえていないのだけど。

まあとにかく、この秘密基地感のようなものが子どもたちの心をくすぐるのだと思う。

 

ちなみに、本書はシリーズ化してる。つまり、続編があるってわけ。続編とか本書のくわしいレビューはコトリ (id:defender_21)さんが上手に書いているからこっちを読むといいかも。

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