【書評】ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 島田紳助
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)
- 作者: 島田紳助
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
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◎本書の内容と感想
島田紳助の著書はいくつかありますが、一番ボリュームが少なく、とても読みやすいです。1時間もあれば読めるかと。
タイトルが「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」なので、経営学チックな難しい内容ではありません。
紳助さんのお金に対する価値観やビジネスにおける考え方が書かれています。彼の商売をするときの脳内を見ることができると言ってもいいかもしれません。
◎読書メモ
1.タレントの店はなぜ潰れるのか?
僕がやり始めた商売が流行るのはタレントだからだというひとがいる。そう言いたい気持ちはわかるけれど、店がほんとうに成功するかどうかはタレントである事とほとんど関係がないというのが実感だ。
確かにタレントであることはいろいろな面で店のプラスになる。テレビや雑誌が取材してくれる機会も多いし、ファンの方が遠方からやってきてくれたりする(中略)
宣伝においてタレントの店がメリットがあるのは事実である。
けれど、それならなぜタレントのやる店は開店から何年かで潰れてしまうのか?(中略)宣伝は諸刃の剣だからである。
単純な話、もしもその店が美味しくなかったら、悪い宣伝をしていることになる。悪評はあっと言う間に広がる。
「あのタレントの店には行ったらあかんで。高いしまずい」(中略)
タレントの店は注目が浴びやすいのでそういう攻撃対象にもなりやすいひとがタレントの店に惹かれるのは、ある種の期待感があるからだ。
美味しいものが食べられるんじゃないかという期待感。有名人に会えるんじゃないかという期待感。いろんな期待感を胸に、お客さんは遠路はるばるタレントの店にやってくる。タレントはこの期待感と勝負しなければならないのだ。
2.自分の成功が偶然ではないと証明するため
自分で言うのもなんだけど僕は芸人として上手くいったと思う。それも自分が夢見ていたよりずっと速いスピードで、実力があったからやと思う。誰にも負けない努力をした。
飯を食っている時も、友達と遊んでいる時も、デートをしている時も夜寝ているときも。いつだって漫才のことを考えていた。
成功したのは当然やと思う。そう思いはするのだが、それでも時々ふと思う。自分が成功したのはたまたま時代の波に乗っただけのこととちゃうんか?と。たまたま成功したんやからええんじゃないかとは思えない。
自分が成功したのは自分のそれだけの実力があったからだと証明したい。それも他の誰かではなく、自分自身に。僕が一度無名になってもう一回タレントとして成功したら、たまたまでないことが証明できるが、それは無理な話。
そこで店を作ることは、無名の新しいタレントを作ることと一緒
多くの視聴者に受け入れられるように、コンセプトからネタ作り、そしてプロモーションまで、すべてをひとつひとつセッティングしていく。それで成功したら「ほらな成功したやろ?」と。僕がビジネスに夢中になり続ける理由はいくらでもあるが、これが根本の動機なんじゃないかと思う
3.俺のコピーはいらん
よく後輩が「紳助さんに憧れてるんです!弟子にしてください!」と言ってくる。僕はそれに対してこう言い返す。
「俺はもうおるで?」
これから芸人となる人が今いる島田紳助を目指しても意味がないのだ。島田紳助はすでにいるのだから。
たけしさんにしてもさんまにしても松本人志にしてもどんなにすごい芸人であろうと彼らのようになってはいけない。たとえ、100%のコピーになれたとしても何の意味もない。単純なコピーは絶対にオリジナルに超えることができないからだ。