読書めも

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【#56】美点凝視の経営 障がい者雇用の明日を拓く 渡邉幸義

美点凝視の経営  障がい者雇用の明日を拓く

美点凝視の経営 障がい者雇用の明日を拓く

 

 

◎内容と感想

ISFnetの社長渡邉さんの書籍、「雇用創造革命」と中身が似ている印象を受けました。内容的には、障がい者雇用の「過去」「未来」「現在」が書かれております。

障がい者雇用をダイジェスト的に学びたいにはいい一冊です。

 

◎疑問

この本を読んで浮かんだ疑問は、「どうして、法定雇用率は、"1.8%(現在は、2,0%)"なのか?」という事。そもそも、1,8%にはなんらかの根拠があるのか?障がい者雇用に詳しい人にご縁があれば、今度聞いてみようと思う

 

◎読書メモ

1.障がい者と健常者の違いは、右利きか左利きの違いのようなものだ

障がい者と健常者の違いは、右利きと左利きの違いのようなものだと思います。つまり、単なる個性の違い、という事です。当グループでは、そうした個性豊かな障がい者たちがきちんと戦力になって仕事をしています。

 

しかし、多くの企業は「評価ゼロ」という見方しかしていないようです

渡邉社長が、障がいを利き手に例えて説明する所がとても素敵だなあと思います。右利きと左利きでは、右利きの方が統計を取ると多いわけです。身近な人に左利きの人がいても、変に思う人はいないと思います。でも、これが「障がい」という言葉に置き換わると話は変わってきます。不思議と、障がいに対して、偏見を持っている人が多いのです。

これは、株式会社ウイングルの長谷川社長が言っていた事ですが、「障がいを眼鏡のようにしたい」と。眼鏡は、本来、視力がよくない人がかけるものです。でも、最近は"オシャレ眼鏡"、"ダテメガネ"とか言われるようになりました。不思議ですよね。視力が悪い事を解決する道具が、ファッションとして認知されているわけです。

渡邉社長も長谷川社長も目指している世界は、近い部分があるのかもしれません

 

2.障がい者雇用が進まない理由

法定雇用率は、「障害者雇用促進法」で定められていて、一定規模以上の企業は、民間企業で「2%」国、地方公共団体等は「2,3%」、都道府県等の教育委員会は「2.2%」これを満たしていない企業に対して、一人「月額5万円」の罰則金が課されます。

 

企業はこの5万円を払ってもクビを切っていきました。わかりやすく説明しましょう東京都の最低賃金は「841円」これに社会保険料や交通費も入れると、約1000円になります。これでいくと、だいたい月に16万円払っている事になります。さらに3人に1人サポートの人をつけるのが適切です。

 

サポートの人に24万円払うとして1人8万円の負担になり、障がい者には月に約24万円払っている事になります。さて、リーマンショックのように背に腹はかえられないといった時には評価ゼロの人間に24万円払うより、5万円の罰則金を払ったほうがいいと考えるのです。法定雇用率に達しない場合は会社の名前を公表されるのですが、それでも多くの障がい者が解雇されていったのです。

この例は、非常にわかりやすいですよね。なぜ、障がい者雇用が進まないのかがわかりやすく説明されています。よく、障がい者雇用が進まないと言われますが、それがなぜ進まないのか?企業は、障がい者雇用に対して、どう考えているのか?という事がていねいに説明されてます


3.自立とは、親の目線で決まるものではなく、社会の目線で決められるべきものである

当グループで入社した社員といくつか約束をしますが、中でも私が大切にしているのが、挨拶をきちんとする事です。挨拶は人間関係の基本で、それができない人にいい仕事ができるわけがないと私は思います。

 

それは、障がい者に対しても同じです。ISFnetハーモニーを始めた時の訓練の第一歩は、挨拶をきちんとするでした。そこで、朝と午後の仕事が始まる前に、6つの挨拶を全員で声を合わせて練習するのです。

 

しばらくすると親御さんから「どうして挨拶の練習なんてさせるんだ」というクレームがきました「子どもが嫌がっているのに、無理にやらせるなんて愛情がないだろう」と感じていたようです。親も会社もメンバーたちに早く自立してほしいという気持ちは一緒です。

 

私たちは、自立のために何度でも練習をさせて、うるさく言う。親は親で自立させるために、あまり厳しくしないでほしいと言う。自立とは、親の目線で決められるものではなく、社会の目線で決められるべきものなのです

 

4.バトンを持っているのは社員だから絶対にリストラはしない

雇用は継続しなければならないと思っています。また、社員が会社に対して義務果たしている事に対する責任だと思っています。あくまでもバトンを持っているのは、社員です。バトンを自分から放棄したり、約束を破らない限り、バトンを持っていられるのです。

 

その結果、社員は安心して働く事ができるのです


雇用する事をリレーのバトンと例える所が、個人的には印象に残っています。社長は、リレー選手全員を見る事、またどういう順番にするのかなどを考える監督のような存在なのではないでしょうか?だからこそ、社長がバトンを放棄してはいけないのだと思います