【#192】ワンピースとルパン、たったひとつの共通点《女海賊メアリ・リード 第1巻 偽りの天使 ミレイユ・カルメル》
内容(「BOOK」データベースより)
「わたしは女の子?男の子?」「あなたは天使。天使に性別はないの」少女に少年の装いをさせて、母娘は一世一代の賭に出る。 それが少女にいかなる運命をもたらすとも知らず―。18世紀初頭、カリブ海に男装の麗人として名を馳せた、伝説の女海賊がいた。その名はメアリ・リード。 イギリスの富豪の家で育ったメアリは、なぜ男装し、海賊になったのか?フランスのヒストリカル・ロマンス界の新女王が送る、徹夜必至のノンストップロマンス。
感想
ワンピースとルパン三世、このふたつの作品にはある共通点がある。
それは、主人公に「〜らしさ」がない、ということだ。ワンピースのルフィは海賊であり、ルパン三世のルパンは泥棒だ。だが、ルフィにしてもルパンにしても、一般的な海賊や泥棒とはすこしちがう。
海賊ならば、略奪行為や人殺しは日常茶飯事だが、ルフィはそんなことは決してしない。むしろ、海賊の手によって苦しめられている町を救ったりもする。一方、ルパンは泥棒だが、善人や弱者からは決して盗まない。盗む相手はマフィアや悪どいことをしている金持ちばかりだ。
そういう意味で、ルフィは海賊らしくないし、ルパンも泥棒らしくない。だが、この海賊らしくないところ、泥棒らしくないところがこのふたつの作品の魅力でもある。
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本書は、女海賊メアリ・リードの歴史小説だ。メアリ・リードは、18世紀にカリブ海で活動した海賊だ。男勝りの性格で、カリブ海を暴れまわったといわれている。そして今日、小説・アニメ・映画の女海賊のモデルとなっている。
メアリは、女性として生まれるが、とある事情から、自分の性別を隠して生きることになる。自分が女であることをまわりに悟られないために、髪は短髪にし、胸はサラシでつぶした。
そして、ひょんなことから、財宝が隠されている手がかりを手に入れ、命を狙われてしまう。命を狙われたメアリは、やむなく海賊となって生きることを選択する。おおまかなあらすじはこんなところだ。
この本は、メアリの冒険物語であり、恋愛物語であり、成長物語でもある。そのなかでも、恋愛物語的な面がつよい。
ワイルドで少しいじわる、そして、頑固で海を愛する艦長フォルバン。
じぶんだけを一途に愛してくれる献身的で、片腕の船員コルネイユ。
いつも仲間のことを考え、みんなから愛される陸軍上官ニクラウス。
金、美貌ともに一級品。だけど、どこか残酷さが見え隠れする女貴族エンマ。
オランダ1のモテ男、いつもミステリアスなオーラを身にまとっている伯爵バレッティ。
メアリはこの5人と出会い、5人全員に恋をする。そして、結婚も経験する。きっと女性読者ならば、この5人のだれかに恋をすることまちがいないだろう。