読書めも

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【#116】パピーウォーカーというボランティア《盲導犬になれなかったスキッパー 藤崎順子》

盲導犬になれなかったスキッパー

盲導犬になれなかったスキッパー

 

ちょっぴり切なそうなタイトルだと思い、読んでみることにしました。ところで、パピーウォーカーというボランティアを知っていますか?

パピーとは、英語で「puppy」、子犬と訳されます。パピーウォーカーとは、盲導犬候補の子犬を約10ヶ月間、家族の一員として迎えるボランティアです(※詳しくは日本盲導犬協会のHPにて。)

約11ヶ月間どこかの家族の元で暮らし、その後盲導犬として適性かどうかを試す試験があり、その試験に合格したら、晴れて盲導犬としてその家族とはお別れをして、訓練されるようなプログラムが組まれています。実際、犬に盲導犬としての適性があるかないかは、確率でいうと50%くらいで、ないと判断された場合は、警察犬や介助犬などとしてその後を生きていきます。

本書に登場するスキッパー(犬の名前)は盲導犬適性試験に受からず、警察犬として8年間のキャリアを歩み、その後パピーウォーカーの元に戻り、余生を過ごすという物語です。

読書メモ

1.盲導犬はペットじゃない。

「じゃあ、それじゃあ、うちの犬にしちゃいけないの?ね、スキッパー、このままおうちにいればいいよね。うちの犬になっちゃえば」

 

いつも最終決断をくだす夫が、その夜も口を開いた。「誰かの役に立つ犬を育てるために、このボランティアに参加したんだよね。うちの犬にするためじゃなかったよね」 

 2.自立して生きることができない動物は死ぬべきだ

「動物は、自分のことは自分でできるのが当然なの。自分の始末ができなくなったとき、つまり自立して生きていられない動物を無理して生かしておくのは、残酷だと思うわ。尊厳の問題よ。」

 

どうやってペットの死を受け入れるか、ということにこんなに異なる考え方があるとは思わなかった。文化の来しかた、動物と人間の関わりあいのありかたを反映しているのだろうか。