【#61】リブセンス<生きる意味> 上阪徹
感想
2012年12月に東証マザーズに上場し、代表取締役社長として史上最年少記録を更新した、村上太一さんのストーリーが書かれた一冊です。この書籍には村上さんが直接書いた本ではありません。
リブセンスを立ち上げる前の大学時代でビジコンで優勝したときの話やなかなか売り上げがあがらなかったときのお話、なぜ理念が「幸せから生まれる幸せ」の意味、そして、リブセンスが出来上がるまでが書かれています。
◎疑問
・出版社が日経だが、間違いなく他の出版社から書籍化の話は来ていたはず。日経を選んだ理由は?
・村上さん自身が書籍を書いてみたいと思わなかったのか?
◎読書メモ
1.広告を出せば費用がかかるという常識を覆す
では、この画期的なビジネスモデルは、どのようにして生まれたのか。「とにかく、お客様が満足するものを作りたいと思ったんです。広告を出稿する企業も、アルバイトに応募する利用者も、きちんと満足するようなサービスが、これまで本当にあったかのかな、感じていたからです。」
アルバイトを探している人が満足するサービスとはどのようなものだろう。利用者にとって一番ありがたいのは、自分にぴったりのバイトが見つかること。そのために、掲載されている求人の数が多ければ多いほどいい。
「理想は、世の中にあるすべてのアルバイト情報が掲載されていること」であると村上は言う。
2.祝い金の設定理由
「よくある質問:なぜ採用祝い金をもらえるのですか?」
「なぜなら、たくさんの人に幸せを届けられるサービスでありたいからです」
お金がなくてバイトを探しているのに、バイト探しには交通費などの費用もかかる。それで生活が圧迫されては大変だ。リブセンスはこう考えたからこそ、採用祝い金を始めたという。
祝い金は「企業からいただいた広告費」の一部であり、ジョブセンスを利用してくれたユーザーのみなさんに還元することが目的だと、ホームページにはっきりと書いてある。2011年に支払われた祝い金の総額は、1億円に近かったという。
3.器用じゃなかったから乗り越えることができた
「私自身も普通の人だから、特別な才能があったわけではありません。普通だからこそ、自分を客観的に見て、何が得意で、何が苦手かを理解し、自分をどう生かすかをどう考えるようになる」
自分が普通であることを認識し、それを強みに変えている村上だが、一方で、自分は普通でなければならないと思っているという。
「自分が普通だと考えることに価値があるんです。普通じゃなくなったら困る。もし将来、子どもが生まれたら、普通に育てたいですね。勉強にしても、金銭感覚にしても、普通でなければならない。」
「欲しいのは精神的な豊かさだと思うんですよ。それ以外は普通でいい。普通で十分なんです。実際、無理に普通を超えた成長を目指そうとして、社会がおかしくなってきたのではないでしょうか?」
4.今でも後悔する、お世話になった人を裏切る失態
そんな村上だが、事業が軌道に乗り始めたこの時期、大失態をひとつ演じている。村上は、元バイト先の当時の店長に、運営会社に営業させてほしいとお願いした。
店長は部長とのアポをセッティングをしてくれた日の朝、村上は寝坊をしてしまうのである。「寝坊どころではありませんでした。あまりに疲れすぎていたのか、目が覚めたら夕方の4時だったんです。」
「今でも本当に申し訳なく思っています。できれば一度お会いしてちゃんと謝りたいんです。あれは、人生で一番の大失態でした」会社が大きくなろうが、株式を上場しようが、その失態は忘れられないと村上は語っていた。