読書めも

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先生イイネ!そんなふうに思えるこの一冊《奇跡の中学校 3.11を生きるエネルギーに変えた生徒と先生の物語 佐藤淳一》

あらすじ

東日本大震災による津波で、校舎も家も、そして家族までも失ってしまった石巻雄勝中学校の子供たちの傍には、強力なリーダーシップとユニークな発想で学校の再生のために奮闘し続けた校長がいた。

生きていることの喜び、支援への感謝の気持ちを表し、地域の人々と雄勝の復興を誓うため、全校生徒で取り組むことを決意したのが古タイヤで作った「復興輪太鼓」。
その響きが子供たちを世界へと羽ばたかせた。

絶望の3月11日からドイツライブまでの1年間を振り返った『たくましく生きよ。 響け! 復興輪太鼓 石巻雄勝中の387日』。この感動的なドキュメンタリーに、その後の驚きのエピソードを加えて新書化。

学校教育は、教師は、子どもたちのためにここまでやれる!

感想

校長先生というと「小・中・高の始業式や終業式に長いたいくつな話するひと」「なんの仕事をしているかよくわからないひと」ぼくにとってはそんなイメージだ。そもそも、会う機会もないし、おそらくしゃべったこともない。多くのひともそう思っているのではないだろうか。

だから、校長先生に対してとくべつな思い入れはないし、小・中・高の校長先生の名前すらもおぼえていない。

でも、本書を読んで「校長スゲー」っておもった。なぜなら、本書に登場する生徒たちが卒業式の日に校長先生に感謝のことばを述べるから。しかも卒業生全員が、だ。

3年生22名、全員が出席した卒業式。私は思いを込めて、卒業生一人ひとりに校訓である「たくましく生きよ」の文字が刷り込まれた雄勝中オリジナルの卒業証書(デザインは高橋重樹さん、浄書は工藤しげさん)を用意した。

 

厳粛な雰囲気のなか、登壇した最初の3年生に私が卒業証書を手渡した後、それは起こった。その生徒が突然叫んだのだ。

 

「校長先生、今までありがとうございました!」思いもよらない言葉と展開に、一瞬何が起こったのかわからなかった。私の涙腺をはじく、強烈なカウンターパンチだった。

 

雄勝中の校長先生が佐藤校長先生で本当によかったです。ありがとうございました。」「ここまで私たちが来られたのも、すべて校長先生のおかげです」「今年1年、僕たちのためにたくさんの思い出をつくってくれて、ありがとうございました」「この1年間楽しく過ごすことができました。最高の中学校生活を送ることができました」「私は本当に校長先生に会えてよかったです」「校長先生からいただいた今までの思い出を胸に刻み、これからの人生を歩んでいきたいと思います」

 

次の生徒もその次の生徒も、次から次へと生徒たちが、私に感謝の言葉をかけてくる... ...。誰から言われたのでもない。子どもたち自身で考え、相談を重ね、私へのプレゼントとして演出したものだった。

これらのことばがクラスのともだちや部活動の仲間、担任の先生や部活動の先生に向けられたことばならわかる。でも、これは校長先生に向けてのことばだ。おそらく、自分たちのためにはたらく校長先生の後ろ姿がはっきりと生徒たちに見えていたのだろう。

事実、震災が起こってから佐藤校長は片時も休まず、雄勝中再建のために力を尽くしてきた。佐藤校長が雄勝中のためにどんな行動をとってきたのか、ということについてはぜひ本書で確認してほしい。3.11のあと、生徒のために全力で駆け抜けた佐藤校長のすがたを感じることができるはずだ。

そして、佐藤校長は生徒想いのひとだけではない。先生に対しても並々ならぬ愛情をもっている。冒頭に雄勝中学校の全職員の紹介文(校長先生による)があるのだけど、これがおもわずグッとくる。佐藤校長の職員に対する愛情が伝わってくるお気に入りの箇所だ。

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 取り上げている題材は3.11についてだけど、中身は生徒のためにがんばる先生たちの姿を描いたドキュメントだ。きっと読み終えたときに、「先生っていいなあ」「生徒のためにがんばる校長かっこいい」と思えるだろう。

読書メモ

・校長先生ひとりでつくった感じの本でないところがいい。

→巻末に教頭先生から見た校長先生についてや学年主任から見た校長先生について。卒業生3人による3.11の出来事についてのふりかえりの座談会の収録。卒業生の作文の収録。

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