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読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

【書評】「国際協力」をやってみませんか? 山本敏晴

「国際協力」をやってみませんか?―仕事として、ボランティアで、普段の生活でも

「国際協力」をやってみませんか?―仕事として、ボランティアで、普段の生活でも

 

  知らないことだらけだなぁ(ネガティブでなく、ポジティブな意味でだ)、そんなことを感じさせられた本でした。

 著者の山本敏晴さんは医師でもあり、数々の国際協力団体に所属し、アフリカや中東で医療活動を続けてきた国際協力の現場をよく知る人であり、同時にNPO法人宇宙船地球号の代表でもある。

 本書は会話形式で構成されており、山本さんと早紀という一人の女の子が登場します。この早紀は元気ですこしおちゃらけている子で、国際協力に対して、自分なりの「きれいな」イメージをもっており、山本さんの国際協力のお話をきいてある一つのことに気づく...

 そんな感じで本書は進められていきます。とにかく会話形式なので、よみやすいし、国連ってなに?NGONPOってなに?というところから解説してあるので、わかりやすい。

 読み終えておもうのは、国際協力に対してのイメージは間違いなく変わった。僕がイメージしていた国際協力はどこかのNGOに入って発展途上国に赴くとか、そんなイメージでした。

 でも、NGOに入り直接現地に赴くことだけが国際協力ではないと山本さんは言う。例えば、国連や政府は普段から国際協力の取り組みを行っている。青年海外協力隊などは、それに当てはまります。

 さらに国際協力という言葉を山本さんはこう解釈している。

一方的に援助をしてあげる国際貢献ではなく、双方が利益を得ることを「国際協力」と理解しています。

 

例えば、日本は東南アジアを支援していますが、それには理由があります。自動車メーカーA社が、車を安くつくりたいという場合、東南アジアに工場をつくり、安い賃金で労働者を雇います。車をつくるための原料を工場まで運んでくるための道路が必要ですから、道路をつくってあげます。車ができあがったら輸出するための港湾設備が必要ですから、それもつくってあげます。工場を動かすには電気や水が必要だから、発電所も送電線も上水道もつくってあげます。

 

だから日本は、日本の産業を発展させるために、東南アジアなどを開発している、という側面もあるわけです。その結果、道路をつくるための工事や自動車工場での雇用が生まれ、貧困から脱出し、本当に救われている人々もいます。

 つまり、僕自身がイメージしていた国際協力の姿は、国際貢献に近かったのかもしれない。読み進めるうちに思っていた以上に国際協力の意味合いが広く、知らないことだらけ。例えば、こんなことも知らなかった。

 戦後に、日本の経済が立ち直ったのも実は国際協力が一枚噛んでいたこと。新幹線、実はこれ外国につくってもらったものだ。新幹線も、東名高速道路もダムも外国からの資金によってつくられたものだ。当時援助してもらったお金の総額は2000億を超える。

 本当にため息がでるほど、「知らないぁ」と感じることばかり。一方で「なるほどなぁ」と感じることもあった。

山本:ともかく重要なのは死んではいけないということ。例えば、もし、あなたが、いきなりソマリアに行って死んでしまった場合、どうなるかというと、まず、日本のマスコミが「日本人が死んだ」と大きく報道します。すると、「ソマリアで日本人が働くことは危ないかもしれない」ということになり、外務省が、「ソマリアにいる日本人全員に帰国を勧告」する可能性があります。

すると、国連やJICAや、大型NGOなどで働いている、たくさんの日本人の国際協力従事者が、みんなソマリアから撤退し、全てのプロジェクトが頓挫する可能性があります。

 

だから初心者がいきなり行って、死んではいけない。

 最後の言葉がずっしりくる。国際協力を甘くみたらダメだよって言われているような、そんな感じがする。

 また、国際協力が描く未来についてはすごく考えさせられた。

山本:一般に国際協力は、貧しい国を豊かにすることだ、と思われていますよね?間違いなんです。途上国を豊かにしてしまうと、(地球上の人類全てが日本人のような生活ができるようにしてしまうと)、地球がもたないからダメなんです。

 

そうすると、国際協力って貧しい国の貧しい人が、私たちのような生活ができるようにするのではなく、「地球上のみんなが協力して、ものの取り合いをしないで、末永く暮らせるようにしていきましょう」という行動や方針なのかもしれません。実は、我々豊かな国がまず生活レベルを落とさないといけない。電気の使用量を、資源の消費量を、まず減らすこと。そうしたことがまず必要だと考えられます。

 

早紀:山本さんの話を聞くまでは、今の私たちのように、テレビを見て、電気がたくさん使える豊かな生活を、途上国の人にさせてあげるようにするのがよいことだと、あたし、思ってたんやけど....

 発展途上国のことを考えて国際協力に取り組むだけでは、不十分。地球が持続可能な社会に続くには?という問いをみんなで考える必要がある。国際協力はそれくらいたいへんで、気遠くなる取り組みなのだとおもう。

読書メモ

1.ボランティアの語源

山本:具体的にボランティアと呼ばれる行為が世界的に始まったのは、ヨーロッパの中世の時代でした。1つは、キリスト教の国々が、イスラム教の国々に攻め込んだ、十字軍の遠征というのがあったんですが、その時に、キリスト教の軍隊に入って戦ってくれる人を募って、応募してきた人たちのことを、ボランティアといいました。

 

つぎが、もう少しましになってきまして、この中世の時代、日曜日に人々は協会に集まり賛美歌などを歌っていました。その時、協会のオルガンを弾く人が必要だったのですが、それに応募してきた人のことをボランティアといいました。

 

2.国際協力団体における広報の意味

自分の団体がお金を得るための「広報」ということだけでなく、その途上国が、いかに大変な社会問題を抱えているかを紹介する大切な「広報」の仕事です。つまり、「ほかの団体や個人にも、そうした現状を知ってほしい、そして何か行動を起こしてほしい」という啓発をすることです。 

 

3.キレイなコピーだけではダメ

 「世界を平和にしましょう」というきれいなキャッチコピーに反対する人は誰もいないが、「今すぐ、原子爆弾原子力発電もなくしましょう」というような具体的な内容になると、ひとりひとりの立場や意見があるため、まとまりはつかない

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