読書めも

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【#122】「未来の学び」をデザインする 美馬のゆり 山内祐平

「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体

「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体

 

内容と感想

 「学び」をデザインするときに3つの要素(空間・活動・共同体)に分けて考えると、「学び」における障害をクリアできる、一言でいえばそんな本でした。タイトルが「未来の学び」をデザインする、なのでそもそも「学び」とはなんぞやという疑問が出てくるとおもいます。本書ではこの「学び」についてこう定義しています。

「学び」とは、私たちの身のまわりに存在している活動です。そんな「学ぶ」という活動も、意識した途端に、苦しいもの、耐えなければならないものとして感じてしまうことがあります。 

 ふむふむ、なるほど。大人と未就学児を比較したら、よりイメージしやすいかもしれません。例えば、学校にあがる3歳から5歳の子どもを見たら、新しいことを発見すると、本当にうれしそうな顔をするとおもいます。それに対して歳を重ねてゆくなかで、時として「学び」を苦しいものと感じてしまったことはありませんか?

 では、なぜ「苦しさ」を感じてしまうのか?本書ではこのように書かれています。

学校の学習(教室での授業など)として考えると、クラブ活動や社会科見学は非日常的なものであり、テストで評価されないからかもしれません。また、手足を使って何か自分で作る、試みるという活動が入っているかもしれません。「教える者」と「教わる者」、「評価する者」と「評価される者」というはっきりとした上下関係がないことも関係しているかもしれません。 

 つまり「学び」を苦しいものにしない要素のひとつに、お互いが「フラット」な関係であること。これは言えるかもしれません。なぜなら上下関係があると、ある種の「窮屈さ」を生んでしまうから。

 

 そこで本書は「学び」をデザインするときに就学前の子どもに着目します。

就学前の子どもが日々の生活の中で、生き生きと学んでいる姿、課外活動での楽しい学習の思い出。こういった活動の中に、人間の学びを本来の楽しい、知的探求の活動として取り戻し、それを子どもから大人までの学習活動に活かしていくためのヒントがありそうです。この本では、そういった形の学びを「未来の学び」として考えていきます。 

 と、まあここまでが20ページ近くある序章の3ページ分です。ぶっちゃけ序章を読むだけでも非常に興味深い内容となっています。本書は200ページほどあるのですが、「学び」に関してありとあらゆることが詰まっている内容となっていますので 教育に携わる人はもちろん、ワークショップに関することも書かれているのでワークショップデザイナーの方にオススメの一冊です。