読書めも

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【#113】就職しない生き方 ネットで「好き」を仕事にする10人の方法

就職しない生き方 ネットで「好き」を仕事にする10人の方法

就職しない生き方 ネットで「好き」を仕事にする10人の方法

 

内容と感想

 nanapiけんすうさんの本を読みたいなぁと思い、ググったところ、この本にヒットし読んでみることにしました。本書は主にインターネットを活用し、自由に生きている(ように見える)人たちのインタビュー集です。

登場するのは、2chねるの管理人のひろゆきさんや元ライブドアの堀江さん、メルマガのまぐまぐやニュースサイトのガジェット通信を立ち上げた深水英一郎さん、ニコニコ動画仏教を説く動画などをアップし一躍時の人となった蝉丸Pさん、などなど、計10人のインタビューが掲載されています。

非常にすらすらと読めたなぁという印象でした。この本が出版されたのが2010年の5月なんですが、彼らが予言していたことが的中している箇所がいくつかありました。たとえば、けんすうさんはこう言っていました。

これから人に雇われない生き方が、もっと広がっていくと思うんですよ。僕のまわりの人たちが、みんなそうなっていってるから。 

 うーん、さすがけんすうさん。2010年当時がどうだったかはあまりわからないけど、当時に比べて「ノマド」という働き方や「フリーランス」という契約の仕方、「起業」といった言葉が大学生や高校生に浸透しつつあるような気もするし、実際にそういったはたらき方をしているひとたちがいます。

ところで、この本は「自由」「就職」といった言葉がキーワードだと思うのですが、「自由」って何でしょうか?「就職」ってどういうことなのでしょうか?

本書に登場する人々は「起業」をすることで(起業していない人もいるけれど)、ある程度の「自由」を勝ち得た人です。では、「自由」を勝ち得た人々は悩みはないのでしょうか?

本書の一番最後にけんすうさんとひろゆきさんの対談があるのですが、彼らはこのようなことを言っていました。

ひろゆき会社員はいやな仕事もやらなきゃいけないし、会社の中の問題は自分では解決できないから「悩み」になる。経営者やフリーだったら、その仕事をやるかやらないかは自分で決められるから、悩みはなくなる。でも、そもそも食べられないっていう、もっと大きな問題がでてくるけどね!

 

けんすう 会社員と経営者では、うまくいっている会社なら、会社員のほうがラクだと思いますよ。起業した場合は、うまくいかないかもしれないけど、もしかしたら、すごくうまくいくかもしれない。食べられなくなって死んじゃう人は、まだそんなには、いないですよね?

 

ひろゆき:生活レベルが下げられる人ならね。

 おそらく、「起業」や「自由」という選択肢をとれば、「生活レベル」が下がるリスクがあるというのがデメリットなのかもしれません。そのリスクやデメリットを考えたうえで。選択することが大事なのだと思います。

さて、もうひとつのキーワード「就職」について。この本が出版されたときに比べて、様々な就職の仕方が増えたのかなぁというのがぼくの中での肌感です。

たとえば、ソーシャルリクルーティングで有名な「WANTEDLY」。Web上で履歴書のようなものを作ることができ、企業と個人とが直接コミュニケーションが取れる設計になっており、個人が企業に対して自分をアピールすることもできますし、一方で企業は優秀な人材をピンポイントで集めることができます。

こういったサービス以外にも、「ココナラ」 といった自分のスキルをWeb上で500円~売ることができるといった流れも来ているのが、2010年当時とちがうのかなあと思います。

つまり、「リクナビ」や「マイナビ」に登録して、説明会に行って...面接して...という手法以外が徐々に世の中に知られていっているのかなぁと思ったり。ぼく自身2010年時点では就職というものに対して、説明会行って、面接して、、、というイメージだったので、そのイメージが変わってきているのはなんだかおもしろい。

結局のところ、働き方が変わりつつあり、彼ら(本書に登場する人々)はそれを2010年より前から自分のすきなことややりたいことをなりわいにしています。ひとつひとつのインタビューもそんなに長くないので、1時間もあれば読めるので、「働き方」ということに興味がある人はぜひ。

読書メモ

1.本業には「やりがい」が、副業には「生きがい」があれば。

ーー「好きなこと」「やりたいこと」を本業にしなくてもいいという考え方でしょうか?

深水:生きていくのに必要なお金を稼ぐ、というのが仕事の第一義ですから。自己実現は、その次のステップですよ。昔は副業が認められない場合が多かったから、やりたいことがあれば、仕事そのものを乗り換えるしかなかった。でも、いまはもっと違うやり方がありますよね。

仕事は仕事として、残りの時間で好きなことをやればいいんじゃないでしょうか?それが別の仕事でもいいし、趣味を極めるのでもいい。僕は、幸せは、波瀾万丈じゃなくて、落ち着いた生活の上にあるんじゃないかと思う。そのうえで、できれば本業には「やりがい」が副業には「生きがい」があるといいですね。 

 

2.やりがいは結果。やりがいよりも役割を見つけよう

ーー仕事にやりがいを求めてはいけないのでしょうか?

蝉丸P:自分の役割や立場が定まっていないときには「やりがい」というのは最終目標にならないと思います。ロールプレイングゲームでも、まず自分の役割が何か?ということを決定し、周囲が認めてはじめて、やりがいが出てくる。自分の役割を決めないまま、「夢」や「自己実現」というあいまいなイメージに踊らされて、自分探ししたり、システムに疑問を持ったりしても、まず根本が定まっていないと見当はずれになる。

順番が逆というか、まず役割(ロール)の決定が先だと思いますね。起業するか就職をしないという形式の話ではなく、それが最優先なんだと思います。 

 

3.美しいコードは書けない。だから経営者として一流になろうと思った

ーーでも実際に客先に納品するプログラムを、堀江さんがご自身で書いたんですよね?

堀江: ちゃんと動くコードは書けるよ。でも「美しい」ソースコードとかは、かけない。それは、センスの問題だから。一流のエンジニアっていうのは、美しいコードが書けて、むずかしい言語を使って、コードの美しさを追求する。僕は、そういうのはできなかった。技術者としては二流だったから、経営者として一流にならないとだめだ、と思ったんだよ。それが「世界一の企業を目指す」っていうモチベーションだった。

 

4.浪人したことが人生のレールを外れる予行練習になった

 ひろゆき:でも、受験に失敗したことは、いまの結果からすると、すごくよかったと思います。

ーーどうしてでしょう?

そのままストレートで大学に入ったら、たぶん、なにも考えずにサラリーマンになっていたと思うから。高校生のときは、大学は現役で行くものだと思っていたんですよ。そういうレールがもうしかれているから、現役で大学に受かっていたらそのままレールの上を行ったと思います。でも浪人したことで「浪人生」ではなく「無職」っていうなにも肩書きのない存在になった。

それまでは中学生にしろ、高校生にしろ、社会的になんらかの価値のある人間だったけど、そこではじめて、なにもないっていう存在になった。ああ、肩書きがなにもないっていうことは、社会的にこういうポジションなのねって、実感できた。今のレールをはずれる生き方の予行演習を、そこでやったんですよ。