【#100】楽毅 宮城谷昌光
内容と感想
春秋戦国時代の戦国時代に生きた武将、「楽毅」が主人公の小説です。三国志の諸葛孔明が名将と仰いだ人物でもあります。
週刊ヤングジャンプでも連載されている人気漫画「キングダム」でも楽毅は登場します。このキングダムは後に秦の始皇帝となる秦王「政」と大将軍を目指す「信」の物語です。
さてさて、話がずれましたが、中国王朝の変遷はこうなっています。
ざっとこんな感じです。この赤文字で書かれた戦国時代の世を生きた楽毅。戦国時代は、大きく分けて7つの国が乱立していました。
①魏
②趙
③楚
④斉
⑤燕
⑥韓
⑦秦
楽毅は、中山という国の宰相の嫡子として生まれますが、ほどなく趙に攻め込まれ、敗残兵となります。そして、紆余曲折を経て、燕の王に召し抱えられ、当時最強と言われていた斉をあと一歩というところまで追いつめますが、燕王が死去し、最終的に王の息子である王子に疎ましく思われおり、国を追われ、趙に亡命することになります。
本の中身は全体的に、難解な文書となっています。
たとえば、
「讒言(ざんげん)」「愚昧(ぐまい)」「社稷(しゃしょく)」「剣把(けんぱ)」「聘問(へいもん)」
などなど、すごく難しい言葉が用いられています。(たまにフリガナふってあるけど、ないケースが多い....)
まあ、多少分からなくても雰囲気で意味はつかめるのでとにかく読み進めることをオススメします。
1巻〜4巻までありますが、非常にボリュームがあります(世界史好きな人・中国史好きな人じゃないとキツいかもしれません...)
第一巻では、中山国に生まれた楽毅が、趙からの攻撃をなんとか防ぎ、いったん和睦という形で幕を閉じます。
楽毅がどのような人物であるかはもちろん、楽毅の臣下、そして、中山王(コイツは無能)の息子と楽毅の絆は必見です。
理想の上司と理想の部下のような二人の絆は、読者を魅きつけます。
兵法家として有名な楽毅は有名ですが、趙からの攻撃に備える際に、ある城の改築に取りかかります。
その改築にとりかかる際に、こうポツリとつぶやきます。
楽毅は塞内をみまわった。楽毅を見かけた守備兵は緊張したおももちで敬礼をおこなった。
ーーこの者たちを殺したくない。
この世を独りで生きている者は多くない。父母、兄弟、妻子などがいる。兵になった者が戦場で死ねば、その家族に埋めようがない空虚ができる。ひとつでもその空虚を生じさせないようにするのが将のつとめである。楽毅はゆっくり兵をながめた。
ーーわしがこの者たちを護り、この者たちによってわしは衛られる。
「まもる」という言葉を使い分けているところが個人的にはすごく好きです。「護る」は、ご加護の「護」を使っているので、なんとなく上から守るような感じ。「衛る」は、「衛兵」の衛を使っているので、地上で守る感じ。
楽毅では漢字が多用されるので、このように一つ一つどんな意味があるのだろう?と考えてゆくのも本を読む上で楽しむことができます。