読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

名前のない女たち 中村淳彦

名前のない女たち (宝島社新書)

名前のない女たち (宝島社新書)

 

内容と感想

息苦しさがのこった本だった。数ページ読んではやすみ、また数ページ読んでからまたやすみ... ...そんなことをくり返してなんとか読み終えた。それくらい内容が重く、読み進めることがむずかしかった。

 

AV女優のインタビューを集めた「名前のない女たち」を読んだ。AV女優といっても恵比寿マスカッツに出演している有名な女優へのインタビューでなく、企画女優とよばれる企画ごとに出演する無名の女優さんたちへのインタビューだ。

9人の女優へのインタビューが収録されており、なかなかヘビーな内容だ。男性ならば、AV女優を見たときに、一度はこう思ったことがあるだろう。「なぜ、AV女優になったのだろうか?」と。

お水系の仕事をしているひとを見ると、「やっぱり借金まみれでしかたなくその道を選んだのだろうか?」「怖いひとに無理やり連れていかれ、無理やりAV女優にさせられたのか?」そんなネガティブなことが思い浮かぶかもしれないが、彼女たちのインタビューを読むとそんなことばかりではないと分かる。

大学院に行き、自分の夢をかなえるためだったり、セックスが好きで好きでしょうがないからという理由だったり、彼氏の借金の肩代わりになるため女優さんになった人もいます。

ポジティブな理由もあれば、ネガティブな理由もある。女優になった経緯は、本当に十人十色だ。

 

さて、冒頭で書いた「息苦しさ」なんだけど、それはこの本から伝わってくる女優業のリアルさだったのだと思う。

実際の撮影現場での様子だったり、女優さんに大好きな彼氏ができても契約があるから泣く泣く現場に行かないといけない話だったり、生々しい話がとにかく多い。

 

アダルトビデオの世界は、女性が「商品」である男尊女卑社会である。商品なので表面上は優しく大切にされるが、ほとんどのAV女優は「商品だから優しくされている」ということに気づいていない。

 

あなたはこの重さ、息苦しさに耐えれるだろうか?そんな覚悟があるひとはぜひ読んでみるといいかもしれない。

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)