読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

【#80】日本一ヘタな歌手 濱田朝美

日本一ヘタな歌手

日本一ヘタな歌手

 

◎内容と感想

脳水腫による両上下下肢機能障がいを抱える濱田朝美さんの著書です。この障がいは、原因不明で、日々進行が進む病気です。彼女は、出産時の医療ミスによって一生付き合ってゆくこの障がいを抱えることになります。

僕が、濱田さんを知ったのは2013年の7月。この本が、土屋アンナさん主演で舞台化されるというニュースがありました。

炎上商法?濱田朝美「日本一ヘタな歌手」舞台化

これは、主演である土屋アンナさんが舞台練習に来なくなり、そのことにより公演が中止となった経緯です。一見、土屋さんが悪いように見えますが、濱田さんがこれに対してブログで言及しました。

http://matome.naver.jp/odai/2137513237324083101?&page=3

そんなことから、濱田さんを知って、著書を読みたいなぁと思っていたので、今回読むことにしました。

◎疑問

・上記の舞台化の問題は解決したのか?また、どういうふうに決着がついたのか?

 

◎読書メモ

1.「悲しい大爆笑の初恋」

障がい者というと、恋なんかしないと思っている人もいるのではないでしょうか?大きな誤解です。身体の自由が利かなくても、心は自由。障がい者の女の子が集まると、"恋バナ"で盛り上がったりするんです。ただ、障がい者だからこその"恋のハードル"があったりもします。私の初恋は中学二年生でした。廊下ですれ違った男の子から突然

「俺がお前を幸せにする」と言われ、赤いバラの花を渡されたんです。「ありがとう!うれしい!」

喉から出かかっていた言葉です。でも実際は、言えませんでした。「こんな私に、先輩と楽しいデートができるわけない」

普通のカップルなら、映画を見に行ったり、学校帰りにファストフード店でおしゃべりをしたりするのでしょうか。でも、私たちにはできません。できないというのは語弊があります。"一人"ではできないのです。

結局、私の口から出た言葉は最悪なモノでした。「バラなんて、キッザー(笑)」

 

2.もう前に進むしかないのです。

初めてお願いした介護ボランティアの人に、お金を盗まれそうになる事件が起こりました。お財布に生活保護のお金をすべて入れて寝たところ、ハッと目を覚ますとその介護者が私のお財布からお金を抜こうとしていたのです。

慌てて声をあげたためにお金は盗まれずに済みましたが、絶望的な気分になりました。でも、一人で暮らすことを決めた私は、こんなことで落ち込んでばかりはいられません。もう、前に進むしかないのです。

 

3.国から1ヶ月720時間のうち558時間分の費用しかでない

私たち障がい者には、国から1ヶ月720時間のうち558時間分は介護者を雇う費用が出ています。しかし、残りの162時間は自分で介護者を見つけてお願いしなければなりません。介護者の方には、1時間あたり1000円でやってもらっています。介護者をつけないで過ごす時間もあるので、その額は7万〜9万くらいになりますが、それはすべて自腹です。もちろん介護者の交通費や食事代もすべて支払わなければなりません。私には生活保護費と障がい者年金が出ているのですが、家賃や光熱費を支払うと生活は楽ではありません。