読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

【#79】僕らの人生を変えた世界一周 TABIPPO

僕らの人生を変えた世界一周

僕らの人生を変えた世界一周

 

 ◎内容と感想

TABIPPOが出版したこの一冊。代表のしみなおさんやTABIPPOの立ち上げメンバーの物語だと思ったら、世界一周をした15人の物語でした。

以前、ブロガーのはあちゅうさんの「わたしは、なぜタダで70日間世界一周ができたのか?」を読んだことがありました。これは、はあちゅうさんが学生時代に企業から協賛をもらい、世界一周をするという企画を書籍化したものです。

ですので、中身は「旅日記」でした。

これを読んだときの印象は、他人の旅日記はそんなに面白くない、ということ。

ただ、この「僕らの人生を変えた世界一周」は面白かった。おそらく、15人の物語が収録されていたから、面白かったんだと思う。比べて、はあちゅうさんは、一人なので当然はあちゅうの物語。つまり、1人の物語なわけです。

こういう物語の数の差が、ぼくを面白く感じさせて要因の一つなのではないかと思います。

 

◎疑問

・15人の物語だったけど、何を基準に彼らの物語を選んだのか?

・ひとりひとりにどれくらいの原稿を書いてもらったのか?

 

◎読書メモ

1.「世界一周」それは、"後悔した"と言って帰ってくる人がいない旅

「世界一周」

 

それは、「後悔した」と言って帰ってくる人がいない旅。それは、365日、自分がどこで何をしていたか覚えている

 

一生に一度見れるかどうかという光景が、300日も続くこと。それはいろんな国に恋すること

 

マチュピチュよりモアイより、人との出逢いに心震えること

 

それは、一生の酒のつまみ

 

それは、人生最後のご褒美じゃなくて、人生が始まるきっかけ

 

それは、「いつか死ぬとき、きっと思い出すんだろうな」

 

2.僕は、ひきこもりの大学生だった

世界一周に出る前、僕はひきこもりだった。

 

家とYouTubeを行き来する生活。大学には行けなかった。部屋の天井をただただ、ぼーっと見つめていた。ずっと優等生の良い子ちゃんで生きてきた。小学校5年生のとき、「あなたの夢は何ですか?」という質問に書いた答えが「公務員」。大学も自分の意志ではなく、先生や親の意志。

 

夢、希望、やりたいこと?何もなかった。というより、考えないようにしていた。それを考えた瞬間、羞恥心と劣等感が自分を押し殺すから。すべてをシャットダウンし、必死で弱い自分を守った。

 

ひきこもって、約1年。365日。毎日が消化試合。堕落した日々には、刺激もなければ、変化もない。死ぬまで残された時間をただひたすらに消化していた。

 

3.ひきこもりの住人から、世界一周の旅人へ

数ヶ月前まで、灰色の天井を見上げてばかりいた僕が、地球の裏側で、赤い夕日を見て涙している。ひきこもりの住人から、世界一周の旅人になって、自分の足で、自分の意志で、歩いてここまでこれたんだ。

 

4.もらえたのは、声にならないthank you

スタッフ「あの女子は重い自閉症で、一人で立つことも歩くこともできない。話すこともできない。」

 

僕は、なぜかすぐさまこう答えた。「あの女の子の髪、切りたい!」スタッフの女性に思いを伝え、2人がかりでその子の肩を支えて、踊り場まで連れてくるいすに座っても、彼女はずっと下を向いたまま。目も合わせようとしない。話しかけても無反応だ。

 

「ズサッ!』伸びきった髪を肩ラインで一直線にカットした。肩をポンポン叩き、鏡を見せる。

 

笑った。

 

そんで僕の顔を見て、声は出ていないけれど、「サンキュ」って。それだけじゃない!自分の足で、立った!今まで立つこともできなかった子が、僕の手を取って、「手をつないで散歩しよう」って!

 

・・・さすがに泣けた。

5.Are you happy today?

私が止まっていた宿で、毎日毎日、本当に一生懸命を磨いているスタッフがいた。彼の給料は、一日100円だった。宿のオーナーの子どものお小遣いは、何もしなくても200円。でも彼は毎日、笑顔で私にこう言う。

 

「Are you happy today?」そして、「自分は今日も幸せな一日だった」と。

 

カースト制度。どんなに必死に働いても、彼が掃除以外できる仕事は、インドにはない。自分がどのカーストかは、生まれた瞬間に決まっている。生まれた瞬間に人生が決まる。どんなに頑張って床を磨いたところで、机の上さえ拭かせてもらえない人だって、いる。そんな人がいるなんて、これまで考えたことなかった。