読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

声優を目指すひとはこれを読もう《深愛 水樹奈々》

深愛 (しんあい)

深愛 (しんあい)

 

 

◎内容と感想

人気タレント、水樹奈々さんの生い立ちから現在までを自分の手で描いた著書です。実は、著書と同じタイトルの曲が発売されています。

 


深愛/水樹奈々 - YouTube

この本の見所は、声優の仕事がどういうものか?また心構えやそこから学んだことなど声優に興味がない人も非常に興味深く読むことができると思います。

たとえば、

ファン:「水樹さんは声優なのに普通の声なんですね!」最初、そう驚かれること自体が、私にとっては驚きだった。

水樹:「でも、みなさんだいたいそうですよ」

ファン:「え!そうなんですか?」

どうやら世間の人は声優=特別な声を持っている人と思っているらしい。もちろん、中には際立った声を持つ人もいるのだけれど、大多数の役者はそうではない。”普通の声”をというのが生まれ持った声を指すとするならば、ほとんどの声優はその声で仕事している。意識的に声を作ることもあまりないと指導される。

なぜなら、アニメーションの主役は声優ではなく、あくまでもキャラクターだから。例えば、喉をしぼってハイトーンで声を作り、自分の声はコレと決めつけてしまうと、その声にキャラを無理矢理当てはめる事になりかねない。フラットな気持ちで作品と向き合い、演技をする中でキャラクターに自然にマッチする声を出して行くというのが、私がこれまで現場で学んできたことであり、声優として大事にしていることである。

声優というと、特別な声を持っていないとなれないイメージがぼくの中にありました。でも、そうではなく、自分の声をどう生かすか?が大事なことなのかもしれません。

 

◎読書メモ

1.歌は、声だけでなく、体全体で表現するもの

幼稚園や学校から帰るとすぐに父の仕事場でレッスンが始まった。レッスンが何時に終わるか分からないから近所の友達と遊ぶ約束もできない。父は何も言わずに黙々と私の歌を仕事をしながら聴いている。そうして、ある程度歌が完成すると、今度は振り付け指導が入る。そうなると棒立ちで歌っていては叱られるのだ。 「身体全体で表現せないかん。お客さんは声だけで聴いているんじゃないんだぞ」 その通りだと思た。子供ながらに理解して、指先に色っぽく科を作ってみたり、いわゆる遠い目をしてみたり、意識して振り付けをしながら歌うと、そうしない時よりもずっと曲に入り込めるような気がした。さらに母がほどこしてくれるメイクにまでよく口を出した。父に言わせれば、これもまた楽曲を表現するために必要なことだった。 「もうちょっとアイラインを濃くしろ。この曲はもっと目元をはっきりさせないと表現しきれない」 父は私のプロデューサーだった。

僕自身、なんとなく歌を歌う時に身体を使ってリズムをとったり、表現したりすることを恥ずかしいと思っていました(元々恥ずかしがり屋だし)

でも身体を使うということは、歌がうまくなる秘訣の一つでもあるということ。そして、たとえ歌がうまくなくても体を使った表現で上手に見えるのだということなんです。

改めて、音楽は声で決まるものではないと感じた瞬間でした。


2.心配はしてほしいけど聴いてほしくない

「今日、痴漢にあったんだよぉ...」

「多いよね。ほんとに痴漢最低!」

クラスメイトとはそんな会話をするものの、本当のところは誰も口にしない。「サイアクだよね」と冗談まじりに同情しあうだけ。

深く傷ついているからこそ、そこに触れられたくないのだ.。心配はしてほしいけど、深くは聴いてほしくないからである

 

3.練習は練習でしかない

人生ではじめての声優の収録現場で、ワタシは徹底的に打ちのめされた。
監督にダメだしをされているうちはまだいい。でもこう言われてしまった
最後その日のチャンスは私の手のひらをすり抜けていく。

「今日はもう帰っていいよ」(中略)

思ったように演技が出来なかったのはゲームの登場人物という立ち位置がちゃんと把握できていなかったから。

相手がいない中で会話をするということがどれほど難しいことか。今まで学んできたことがほとんど生かせない状況に私は陥った。声優の専門学校であれほど熱心に勉強したことも、自分なりに応用できなければ現場では通用しないということがはじめてわかった。

「練習は練習でしかないんだ」

それは今でもよく思う。ライブだって、いくらリハーサルを重ねても、一度の本番にはかなわないのだ。

 

4.キャラクターに息を吹き込む

「君は門倉千紗都と同い年なんだから、地声のまま、素直に演じなさい。

「変に演じようとするな。キャラクターを深く理解してシンクロすれば、芝居は後からついてくる」

監督の信条はとにかくキャラクターに息をふきこむこと。声優はそのために存在していると。

 

5.声優の仕事の醍醐味

「キャリアを積めば、オーディションは受けなくていいんでしょ?」

オーディションの話題になると、必ずといっていいほど聴かれることである。答えはNo。どんな場合にも例外はあるだろうけど、基本的にはベテランから新人でもずっとオーディションを受け続けます。

声優の仕事をさせてもらって思うのは、アニメのオフレコはゼロをイチにする作業だということ。ゼロにはどんな数字をかけてもゼロにしかならない。そのゼロを形あるものにするためには無尽蔵の想像力が求められる。

ただ、ありがたいことに声優の仕事はやればやるほど想像力がを養ってくれるものである。なにしろ声優というフィルターを通すと、私は何でもなれる。年齢も性別も超えられて、時には人間以外のものになれる。出会ったキャラクターの数だけ、自分の新しい声にも出会える。

だから今も仕事がおもしろいし、いろいろなものを体感した今だからこそ、心から楽しいと思えるようになった

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