【#59】起業家 藤田晋
◎本書の内容と感想
「渋谷ではたらく社長の告白」の続編です。前作は、怒濤の日々を過ごし、日々苦悩する藤田さんの姿が書かれていました。続編である「起業家」は、メディア事業である"アメーバ"について触れています。
また、メディア事業に関してやサイバーエージェントの制度「あした会議」や「CAJJ制度」などについても。
◎読書メモ
1.すごい会社が「21世紀を代表する会社」
すごい会社に入ったやつが偉いんじゃない。すごい会社を創ったやつが偉いんだ。前職のときに言われた言葉です。私は、最初からすごい会社を創ることを、目標の中心に据えていました。具体的な事業は後から決めたというのが正直なところです。
実は、すごい会社を創るを言い換えたのが、21世紀を代表する会社を創るという言葉なんです。
2.買収は時間と知名度を買うこと
ネットビジネスの先行投資とは、主に人材と時間への投資です。製造業のように設備投資とか物流網を作り上げるという、いま目に見えるものへの投資ではありません。つまり、長い時間をかけて人が作っていくものに投資をして行く必要性を、投資家にわかりやすく説明する必要があります。
また買収は時間を買うという意味がありますが、ネット業界において、先行するメリットが、一年早いことが金額に換算してどれほど大きなことなのか、本当の意味ではわかっていなかったのだとおもいます。
また、知名度がインターネットメディアにとってどれだけ重要かを、私と堀江さんは骨身にしみて知っていました。高い知名度はアクセス数を増やし、コンテンツや決済などに対するユーザーの信頼度につながります
同じクオリティーのサービスを作り上げたとしても、インターネットは頭に浮かんだサイトに自分からアクセスするので、ユーザーのほとんどは知名度が高いほうに言ってしまう。一度知名度で先行されてしまうと、相当内容的に上回るものを作らない限りは、追いつけないのが実情です。
知名度をあげること。堀江さんがライブドアを買収したのもそれが目的でした。
3.新規事業での難しさ
新規事業をやるうえで、一番難しいのは徹底のタイミングだと思います。博打にはまっていく人のように、もう少しやれば事態が好転するかもしれない、と後から振り返ってみれば馬鹿だったとわかることでも、当事者であれば、なかなか止められないものです。最初から基準が決まっていれば、いいのですが...一年半で黒字化しないと撤退にしています。サイバーエージェントでは赤字の下限を決めています。
戦争でも撤退するタイミングが難しいとも言われています。たいてい撤退する軍のしんがりを務めるのも基本的には、ベテランの兵士です。それと同じように、事業を撤退するときも、優秀な経営者がどう撤退するのか?また、いつ撤退するのか?という決断が経営者の手腕の見せ所なのでしょう。
しかし、なぜ、1年半が撤退の基準となっているのでしょうか?すごく気になるところです。
4.ブログの登場による変化
それまでのインターネットのホームページでは、バソコンのブックマークから飛んでいってもそこが目的地であり、行き止まりという印象だったのです。それがブログは違いました。
ネットワーク的に広がっていると表現すればいいでしょうか?ずっとネット上を回遊できる仕組みができていたのです。ブロードバンド環境に変わって、Webを回遊することが快適になったことも大きな変化としてあります。ブログが登場したことで、情報の受け手と送り手が流動的で、誰もがWebを通じて情報を発信できるようになったのです。
5.経営者の戦略の正しさは歴史に証明してもらうしかない。