【#02】だれも知らないシエラレオネのひみつ《ダイヤモンドより平和がほしいー子ども兵士ムリアの告白 後藤健二》
本書の内容と感想
レオナルド・ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台となったシエラレオネのことを取り上げ、現地の人々にインタビューした一冊。児童書ですが、大人が読んでもおもしろい内容となっています。現地の子供兵、手足をなくした人々へのインタビューが戦争の悲惨さを物語っています。
シエラレオネについて
改めてシエラレオネのことをまとめると....
アフリカ西部、太平洋に位置する。首都は、フリータウンで、平均寿命は、男性32.4歳、女性は35.7歳。日本は、男性が78.4歳、女性は85.3歳。
一時アフリカ一栄えているとまで言われたダイヤモンドの産地で有名。かつてこの国は『平均寿命が世界で最も短い国』として有名だった。しかし、このダイヤモンドが人々の生活を豊かにしたのでなく、人々の生活を奪い、子供兵という言葉まで生み出した。
※今では、内線が終了し、平均寿命はあがっている
では、なぜシエラレオネはこのように紛争が絶えなくなり、悲しみが溢れる国になってしまったのか?
それは、19世紀に遡る。シエラレオネは、かつてイギリスの植民地だった。戦後、共和国として独立するが、軍事クーデターが何度も起きました。そして、反政府軍(RUF)と政府軍による内戦で、多くの人の命が失われました。これが、シエラレオネが世界で一番平均寿命が短いと言われた要因と言われている。
また、反政府軍は当初人数が少なかったため、村を襲い、子供だけを誘拐していました。なぜなら、子どもは素直で言う事を聞くのでマインドコントロールしやすかったから。子どもたちは両親を殺され、生きるすべもないので、兵隊として生きるしかなかった。
しかも、上官の言うことを守らなかったら、殺されるもしくはご飯が食べれないので一生懸命訓練を受ける。そうすることで、人を殺すことをなんとも思わなくなってしまう。このように反政府軍が子どもたちを殺戮マシーンになるように仕向けたのだ。
読書メモ
1.麻薬により蝕まれた子供達
子供兵として戦っていた子たちの顔にはカミソリで切ったキリ傷のようなものがある。それは、戦いの最中にできた傷でなく、麻薬をその傷口から埋め込むための傷だった。
麻薬を入れることで子供たちは、人を殺すことをなんとも思わなくなる。一種の覚醒状態になるからである。また、麻薬の中毒性があるため子供達はまた麻薬が欲しくなるため、軍を抜けることができなくなるという、サイクルであった。
2.許すことはできても忘れることができない
本を読んでいるなかで最も心に残ったのが、上記のことばだった。少年兵に右腕を切られてしまった男性はこういった。
彼らを許すことはできる。なぜならみんな平和を望んでいるだし、生きることに必死なんだ。でも絶対に忘れることはできない。
それは、この右腕が理由さ。朝起きたら、絶対に、右腕を見てしまう。嫌でもね。その時、俺には両腕があったのになぁと思ってしまうのさ。
一方、少年兵として多くの村を焼き払った彼はこう言っていた
毎晩、焼き払った村の家族の人達が夢の中にでてくるんだ。俺の家族を返せ。私の息子を返してってね。ほんとに怖いんだ。
僕は多くの人の命を奪った。僕に家族ができて、家族を子供兵の子に殺されても僕は、許さなくてはいけない。戦争の時は誰が殺されるかもしれないし、彼らには罪はないからね。でも、決してその殺されたという事実は忘れることはできないんだ。
許すことはできても、忘れることはできない。普段の自分がちっちゃいことで怒って、何気ないことで悩んでいたのがなんだかとっても小さいことだなと感じた瞬間だった。
まずは、こういう社会問題を知ることからスタートして、それを発信して、最終的に仕組みづくりや現地に行くことに繋がればいいんじゃないかと思う。