【#66】《スーパーポジティブシンキング〜日本一嫌われている芸能人が毎日笑顔でいる理由〜 井上裕介》
スーパー・ポジティヴ・シンキング ~日本一嫌われている芸能人が毎日笑顔でいる理由~ (ヨシモトブックス)
- 作者: 井上裕介
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2013/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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感想
全部で170ページほどのボリュームですが、1ページに書かれている文字数もそんなに多くなく、1時間弱で読めます。自己啓発本ですが、井上裕介の物語になっていますし、読んだらなんだか元気が貰えます内容となっています。
数年前までは大っ嫌いな芸人だったんですけどね、、、
最近「ナルシストキャラを貫き続けるのもプロ根性だよなぁ」と思ってから、嫌いじゃなくなりました。そんな状態でこの本を読んだわけですが、間違いなく井上さんのことを好きになってしまいました。
この感情は一体何なんでしょうねw
本書にも書かれていますが、「好き」と「嫌い」は表裏一体であると。まさにおっしゃる通りで、嫌いという感情を持つということは、その人の事を注目して見たり、気になるということ。
この本の最大の見所は、なんといっても最後の「おわりに」の箇所です。「おわりに」の最後の最後の写真とメッセージが書かれています。個人的にはプッと笑ってしまうオチに思え、これがNON STYLE井上裕介の魅力であり、芸人さんらしい文章の締めとなっています。詳しくは、本書をお読みください。
「あのナルシスト大っ嫌い!」,「井上、ほんっとむかつく!」って言っている女子高生や女子大生が読んだらどうなるのかすごく気になるところ。おそらく、そんな人達はこの本を読み終えたらこう言うのかもしれません。「悔しいけど、井上・・・あんたの事認めたる!」ってね。
疑問
これは、読み終えて生まれた疑問なわけですが、相方の石田さんは井上さんの事をどう思っているのか?またどう見ているのか?という事です。
というか、石田さんのインタビューも掲載して欲しかったです。石田さんが書かれた書籍もあるけど、井上さんのことを書いてある様子はないし...
気づき
・ひとつひとつのエピソードにオチがある事が多かったです。芸人さんの本はいくつか読んだけど、これだけオチがあって、楽しかった本は初めてでした。
・以下の画像を見てください。47と書かれた横にchapterという英単語が見えるでしょうか?このフォントは間違いなく井上さんが選んだでしょう。だってナルシストぶりがこのフォントから出ていますからねw
読書メモ
1.嫌ってくれている人の感情は裏返せます
人の感情おもろいもんで、「好き」の反対は「嫌い」でなく、「無関心」になります。興味を持っていないものには目に入ってきません。だから難しいのは僕になんの感情を持っていない人に好かれる事です。
僕の理論では好きと嫌いは表裏一体できっかけがあれば裏返る。メンコと同じようで、ちょっとの力でひっくり返せる角度があります。その角度は人によって違う。例えば、僕のナルシストっぷりがうざいと思う人は「井上が思ったよりナルシストじゃない瞬間」を見たら「あれ思ってたのと違うやん」とイメージが変わるかもしれない。(中略)こと「悪口のいいやすさ」という点にで言えば、僕のキャラクターは芸能界における独占企業です。他の追随を許さないほど気安く文句を言えるウザッたさが、僕のキャラにあるかもしれない。(中略)誰かに愛してもらいたいなら、最初にマイナスイメージを持たれることは決して不利じゃない。嫌われることは、愛されるためのステップ。これからも僕はのびのびした気持ちで、みなさんにウザがられていきます
(コンビ)結成から一年目の頃、僕らは「baseよしもと」に週3回ほどレギュラー出演し始めました。周囲の先輩や同期からは「NON STYLEは人気先行で、全然おもんない」という評価をされていたのが悩みの種でした。そこで、当時の僕が考えていたのが、「人気者になること」に全力を傾ける戦略です。お笑いの世界において、「面白いやつが人気者になるのか?」それとも、「人気者が言っていることが面白いのか?」といったら、これは難しい問題です。例えば、ダサい服だってテレビで木村拓哉さんが着たらオシャレになる。つまらないボケでも面白いオーラをまとった芸人が言えば、新しい面白さになることもある。その分岐点が一体どこにあるのか、それはわかりません。確実に言えるのは、当時の僕らは他のレギュラーメンバーに比べてウデが無かったということ。だったら「面白くなること」よりも「人気者」の方が手っ取り早いと、そのときの僕は判断したんですよ。人気者になって立場を確保しながら、面白さをちょっとずつ磨いていけば、「面白いだけ」の人たちにには勝てるはず。じゃあ、どうやって人気者になればいいのか?まず、僕はステージ上で思いっきりイキる(カッコつける)ことにしました。女子にキャーキャー言われる言動を心がけ、常にイケメン風に振る舞う。それに女子からキャーキャー言われるのは個人的に最高に楽しいから、これは苦もなくやれました。
賞レースで全然勝てなかった時期の僕らは、負けが込んでいくほど、自分たちのネタに自信がなくなっていきました。勝てないから、自信がなくなる。自信がない状態で次のレースのでるから、また勝てない。そういう負のサークルにハマってしまって、もう自分たちには才能がないから辞めたほうがいいわ、というところまでいった。それがちょっとした運に恵まれて小さい賞を取ったほうところから風向きが変わり始めて、僕らのキャリアは進み出すわけです。その理由は、やっぱり僕らが賞を取ったからなんだけど、そこにはふたつのパワーが秘められていたんですよ。ひとつは、「どんな形でも賞は賞だ」ということで、僕ら自身が小さな自信を持てたこと。「自分たちのやってることは間違ってない」というお墨み付きをもらえた気分になって漫才師を続けることになったわけだからこれは大きい。もう一つは、周囲の人たちの見る目が変わったこと。色々な芸人さんと並んで舞台に立つときでも、「NON STYLEはなんか賞を取ってるらしいぞ」とか、「最近面白いらしいぞ」とか思ってくれる。ほんの小さな実績だけど、目には見えない「面白そうなオーラ」に変換されてたんですよ。芸能人には、よくオーラがあるとか、オーラが身体から出ていると言いますがまさにそのオーラの話ですよね。オーラは、自分だけが作るものじゃなくて、その自分の周りにいる人達も一緒に作るものであるという事を教えてくれるお話です。
例えば、子どもが好きなヒーロー戦隊とかって、実は悪役も人気ありますよ。悪役が出てこないとヒーローも出てこれないし、やっぱり必要な存在。バルタン星人みたいにキャラが立ってる悪役ってむしろヒーローより長く愛されたりする。だから僕は悪役でいいんですよ。僕が悪口を言われて笑いものになることで、1億2千万人の日本人が笑顔になるんだったら、意外とすごいことを担っている気もするじゃないですか。結局「笑われてる」「笑かしてる」ってやることは違うし、芸人さんでそこにプライドを持ってる人も多くいるけど、見ている人が笑顔になっていることには変わらないから僕はどっちでもいいかなと思うわけですよ。
5.嫌いな人を知ろうとすること
面白いことに、人間は「嫌いな人」のことって逆に知ろうとするんですよ。もちろん信用も信頼もしてないし、疑いまくっているんやけど、「絶対に嫌なやつに違いない。きっちり確かめてやる」と色々な質問を投げかけたり、相手のことを細かく観察したりする。自分の「嫌い」っていう感情が正しかったという証明が欲しいから。
それで、いろんな角度から疑っていった結果、相手のことを詳しく知って、「実は、こいつ、良いヤツなのかも?」ってなったら、嫌いが「好き」に切り替わる可能性もありますよね。だからどんな形でもコミュニケーションが成立すれば、そこには一種の愛情のようなものが潜んでると思います。
「怒る」時のルールとして決めているのは同じミスをしても3回までは怒らないってこと。例えば、何かの集合時間に後輩が遅れてきたら、1回目は「おまえ、遅刻してくるなよ」というだけ。それが2回目になったら「お前、前もいうたよな?遅刻すんなって」になる。で、3回目は「お前、次はないよ。次遅刻したら俺は怒るよ」と宣言する。誰だって人間なんだから、得意不得意はあるけど、先輩に3回怒られて直らないのは、直そうとする意識がないからです。遅刻に怒るのではなく、意識のなさに怒るんです。