読書めも

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【#60】佑樹ー家族がつづった物語 斎藤寿孝 斎藤しづ子

佑樹―家族がつづった物語

佑樹―家族がつづった物語

 

内容(「BOOK」データベースより)

甲子園から神宮へ。ヒーローを育てた両親が初めて語る!誰も知らない佑ちゃんの素顔。斎藤佑樹投手を囲む家族の座談会を収録。

感想

今や、もう「終わった」と言われることが多い日本ハムファイターズ斎藤佑樹。彼が甲子園優勝までの道のりを彼の父と母が書いた本です。非常にディープな所まで踏み込んでいるので、斎藤佑樹ファンにとってはうれしい一冊です。

でも、斎藤佑樹について少し知りたいなぁと思う人や、斎藤佑樹に最近興味持った、という人には少し期待ハズレになる内容になるかと。

なぜなら、斎藤佑樹について父と母が語っている、だけのことですから。斎藤佑樹が主観で「甲子園優勝したときに、こう思った」とか「日本ハムファイターズに入団が決まったときにこう感じた」という構成ならば、面白いです。

でも、この本、構成の仕方がすこし変わっています。斎藤佑樹の父が幼少期の頃を書いたら、今度は書き手を母にバトンタッチし、母が小学校時代を書くという合いの手のような手法が取られています。

いわば、斎藤佑樹のSide Story的なものなんです。

また、本書の9割が父と母が語る物語で、残りの1割が斎藤家の4人の対話を記録したものとなっています。

途中で、斎藤佑樹のインタビューなど、本人が語る箇所をいくつも入れれば、またちがった一冊になっていたでしょう。(というか、個人的には入れてほしかった)

点数(5点満点で)

2点。斎藤佑樹の感じた事、思った事などをもっと入れこんでほしかった。

ただ、父と母が交互に斎藤佑樹のことを語るという構成の仕方は手法として面白かった。また、甲子園での出来事も多く書かれているので、田中将大が語る駒大の当時の様子やその時どう思っていたか?などあったらよかったのになあと思っています。

読書メモ

1.駒大苫小牧に勝てた一つの理由

ーー前夜は、延長15回を投げ抜いて疲れてなかった?

斎藤:前の晩は「明日は無理だ」と思ってました(笑)。鍼を打ってもらい、酸素カプセルにも入ったけど、明日は体が重いかなって思っていました。ところが、朝起きた時、今までにないくらい体の軽さを感じたので、全然行ける!と思いました。

ーー軽い!と思ったら、「今日は優勝だ」という感じだったの?

斎藤:はい。相手は僕たちのように延長15回(春の選抜)を経験していないし、そんなにいいケアの方法を持つ先生もついていないだろう、と。一方、自分たちは完璧なケアだと思い、その思い込みが自信となって、これは負けるわけにはいかないと思ったんです。

早稲田実業は、なぜ駒大に勝てたのかな?という疑問が自分のなかにありました。そして、その疑問がこの文章で解消されたのです。延長を経験しているかしていないかが、早稲田の勝因の一つだったわけです。