【#38】サイゼリヤ革命ー世界中どこにもない"本物"のレストランチェーン誕生秘話 山口芳生
サイゼリヤ革命―世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話
- 作者: 山口芳生
- 出版社/メーカー: 柴田書店
- 発売日: 2011/08/27
- メディア: 新書
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感想
サイゼリヤ正垣会長の著書でなく、第三者から見たサイゼリヤの魅力や正垣会長の魅力。そしてサイゼリヤの歴史を余す事なく、書かれている本である。
また、正垣会長の『おいしいから売れるのでない、売れているのがおいしい料理だ』に比べると経営学チックな話も書かれており、非常に興味深い内容となっている。
ぜひ正垣会長の著書とこのサイゼリヤ革命を合わせて読んで貰いたい。
読書メモ
1.安さというのはお客様にとって一番分かりやすいもの
サイゼリヤを含めた低価格路線の外食産業に対して、批判的な声も少なくない「サービスをおざなりにした安さでいいのか?」「行き過ぎた低価格は市場そのものをだめにする」ある時は「これからはホスピタリティーが重要になる」と言われる
コレに対して正垣は堂々と反論する「そんなの楽したいから言ってるだけ。心を込めて作っているから高くていいなんてお客さんは思ってないもん。一番分かりやすいのは価格であり安いというのは重要なこと。世界中のビジネスをみてもみんな安くていいものに向かっているじゃない?食べ物屋だけが例外なんてありえない。お客さんが安いものは嫌だと本当にお客さんが言うならこのビジネスを辞めるよ」
2.おいしいとは、毎日食べても味わいがあり、いつまでも食べ続けたくなる味
ケンタッキーやマクドナルドはインパクトのある味である。何かの機会にふと思い出して、「あれが食べたい」とたまらなくなる。そういう商品作りも時には必要なのかもしれない。
だが、サイゼリヤはその方向に進んでいるわけではない。サイゼリヤにとっておいしいとは、毎日食べても味わいがあり、いつまでも食べ続けたくなる味
例えば日本人にとっての白飯である。白飯なら一日3回食べても飽きない。なぜ飽きないか?それは白いご飯がおいしい!というわけでもなく、まずい!でもないからだ。つまりちょうど中間にあるからである。正垣会長はさらにつきつめて、毎日食べても飽きものは空気であると言っている
日本人だけでなく、世界中のどの人間にとっても毎日取り込んでいけるのは空気しかないと述べている。ならば自分達のめざすべきおいしさとは、空気のように世界中の人が飽きずに毎日でも食べられる味となる。そして僕らはおいしいと思ってもらわなくていいと思ってる。嫌な感じがしなくて、価格が安いなあと思って貰えればいいと思ってる。
3.サイゼリヤが目指すことは、味のコーディネート
ぜひサイゼリヤに行き食べる時はイタリアの食文化に則り、コーディネートして食べてほしい。サイゼリヤの料理とはワインや前菜、フォッカチャなどと組み合わせて食べた時に一番おいしくなるように設計されている。
今食べているものが次食べるものをおいしくする。そのようになっているのだ。そしてその連鎖させる食事のスタイルがサイゼリヤの魅力なのだ。もちろん単体で食べてもらえる商品も大事だけど、コーディネーションした時に産まれるおいしさというものを僕らは大事にしているのだ。