読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

【#32】時給900円のバイトから社長になった男《吉野家 安部修仁 逆境の経営学》

吉野家 安部修仁 逆境の経営学

吉野家 安部修仁 逆境の経営学

 

◎内容と感想

吉野家現社長の安部修仁さんによる書籍。残念ながら安部さんによる直筆の本ではないが、吉野家について知れる一冊となっている。

感想としては、非常に不満が残る一冊であった。

僕がこの本に期待したことは、『吉野家のメニューのストーリー』それから、『安部修二のストーリー』

例えば、吉野家の牛丼がどのように産まれたのか?,280円に至った理由。商品提供までのオペレーションをどのように改善していったか。安部修二はどのような人生を歩み、どのような経緯で社長まで上り詰めたのか。

吉野家をよく使う僕にとっては吉野家の商品とその社長に興味があって吉野家の歴史や、吉野家が陥った経営再建などははっきり言ってどうでもよかった。

本書の内容は、安部修二のストーリーではなく吉野家の歴史を年表にしたような印象を受けました。

ですので、読んでいて教科書を読んでいるような感じだった。吉野家に関しては他にも書籍があるのでいくつか漁ってみようと思います。

 

◎読書メモ

1.自分が疲れた時は皆も疲れている証拠

現場の疲弊感は、通常の業務報書ではあがってきません。ではどうやって察知するか?それは、自分自身です。私が疲弊感を覚えた時は、みんな覚えているものなんです。それからいろいろな人との会話から感じることもあります。この時点では、まだ主観的な感覚なので別の角度からさらなるアプローチをします

 

例えば、営業部門以外の社員に営業の様子を聴くとか、商品開発をテーマに管理部門の印象を訪ねるとか。自分で出向いていって当たり障りのない会話から入るのです。それで、私の問題意識がほぼ間違いないだろうなと認識したら、当事者と話し合う機会を設けます。当事者がどのような問題意識を持っているか確認をすると言ったほうが適切かもしれません

 

例えば、当事者が「自分は仕事をしている」と自己満足で早朝会議をしていたら辞令を示してズバリと注意したり、実態が見えていないのではないかと諭したりします

 

2.自分の短所と相手の長所を見ろ!

創業者の松田さんはよくこう言っていました。「大抵の上司は自分の長所と相手の短所を比較している」それでは人材は育たないと。自分の長所と短所を見比べているわけなので、当然自分が勝手部下が馬鹿に思えてしまう

 

それでは部下の優れた能力を引き出せないのです。部下も「この上司でなければもっと実力をだせるのに」とくさる。だから比較するのは自分の短所と相手の長所を比較しろ!とこれによって自分が改善すべき課題が自ずと見えてくるはずです10円値上げすることで、質がよくなったと感じるはず

 

牛丼が吉野家でサーズの影響で販売できなくなった時があります。その時、豚丼を商品としてうっていくことにしたのですが、値段に関してもめました。私は、他の経営陣と違い、10円値上げして売り出そうとしていたのです。ポスターなどで新しい商品を宣伝してもインパクトがない。だから、「10円値上げするほどおいしくなった」の方が消費者は関心がむくと考えました。結局値上げしたにも関わらず、客数は増加しました

 

3.第一声で社員の意識は変わる

2006年に狂牛病の一連の出来事の騒ぎが治まりあと少しで吉野家の牛丼が再開できるというところで、輸入停止が再度行われました。牛丼はあと数日で販売というところまできていました。しかもこれ、米国の人為的なミスでしっかりと怠らなければ防げたミスなんです。このごに及んで米国を擁護したり弁解したりするつもりはありません。現場の職員を集め今後の対策について伝える機会がありました。その時に私は、こういいました

 

「アッタマきた!」このメッセージを伝えることで現場が「社長が自分達の気持ちを代弁してくれた」と感じ、怒りや憤りは落ち着くでしょう。公式な声明文では「誠に遺憾に思っています」ですが、これを現場に伝えても誰も感情として共有できません。しかもトップの言葉というのは、下に伝わっていく過程で増幅していきます。初動のメッセージを誤ると社内に動揺が広がってしまうかもしれません