読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 坂爪真吾

セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 (小学館101新書)

セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 (小学館101新書)

 

感想

非常にタブーとされてきた障がい者の性問題について解決しようとする一般社団法人ホワイトハンズの代表の坂爪さんの書籍。

ホワイトハンズが提供するサービスは自力で射精することができない男性(重度の身体障がい者)に対して射精介護をすることである

え...そんなの、ソープランド(ソープ)やピンクサロン(ピンサロ)に行けばいいじゃん?と多くの人が感じると思います

ところが、ホワイトハンズが目的にしていることと、ピンサロやソープといった風俗業界が目指すものは全く異なります

ピンサロやソープのゴールというものは、『性的快楽』の最大化。ホワイトハンズが目指すものは、性機能の健康管理・低下予防

つまり、今の風俗業界では、『気持ちがいい』ということしか追求していないということです

一方でホワイトハンズは、全く異なります。性というものは生理現象であると解釈しているのです。生理現象だから人間がトイレに行くことと一緒であるということ。そしてトイレに行くことはみんなすることなんだから恥ずかしくないことよということ

むしろトイレを我慢したら膀胱炎になったりするかもしれません。つまり健康を害する可能性があるわけです

性を性的快楽と捉えビジネスをするのか、性を生理と捉え、健康管理・低下予防としてビジネスをするのか捉え方一つだけで大きな波紋も呼びますし、難しい業界なんですね。

◎読書メモ

1.NPO性風俗の共通項

NPOで働く人々と性風俗で働く人達との共通項があります。両者には一見、共通項がないように見えますが、同じ質問を頻繁に受けます

 

『どうしてそのお仕事をしているのですか?』

 

女性で性風俗で働いている方は必ずこの質問を受けたことがあるかと思います。同じように、NPOで働く人達も同じ質問を受けるのです。どちらも『普通の人であれば、まずやらない。特殊な仕事である』と認知されているのです。これが性風俗で働く人への誤解を招いている要因の一つです

 

2.性風俗=ジャンクフード

性風俗業界を食べ物で例えるとジャンクフ—ドのようなものです。理由は3つあります。

 

①おいしいけど不健康ー性風俗業界は、男性への性的満足の最大化と短期的な利益の最大化のみをひたすら追い求める業界です。大多数の店舗では、「どうせ辞めるから」,「時間と金がもったいないから」ということで、教育や研修、そして衛生管理などもまったくままなりません

 

②素材の産地が不明ー従来の企業であれば、当たり前の情報公開が、性風俗業界ではまともに行われていない経営者、従業員はすべて偽名・匿名で、連絡先は携帯電話番号のみ

 

③中毒の危険があるー性風俗業界で働いてしまうと、主に経済的な理由により性風俗業界でしか働けなくなってしまうということ。仮に、風俗の世界で足を洗っても、就職先が見つからず、出戻ってくる女性も多くいます

 

3.性風俗経営者からの批判

ホワイトハンズの射精介護は、衛生安全管理のために、スタッフは介護用手袋を着用し、利用者にはコンドームをつけてもらいます。通常の訪問介護と同様に、利用者がスタッフの身体に手を触れたり脱衣を要求することは禁止です。

 

しかし、性風俗業界の経営者からは『二重にゴムをつけるなんて気持ちよくもなんともない』『女の子の身体には触れられないし、裸も見れない。それではお客さんがかわいそう』と

 

でも、ホワイトハンズの目的は”性機能の健康管理・低下予防なのです。性的な快楽を最大化する性風俗業界とは違うのです。性には3つの側面がある。性には3つの側面があると考えています。①愛情表現の手段(ラブ)②性的快楽(エロス)③生理現象(生殖機能)の3つです。この3つの側面で生理現象という側面かあアプローチするのがホワイトハンズなのです。性に関して教えてくれる場所も人も皆無。小中高での公の教育現場でも保健体育の時間にごく初歩的な性知識を教える授業があります。ところが、お茶を濁す程度にしか教えられていません。家庭でも両親から教えられるわけではありません