読書めも

読んだ本の感想をぼちぼち書いてます

あとがきがすごい!《「20円」で世界をつなぐ仕事 小暮真久》

◎内容と感想

もし、たった20円でアフリカの子供の栄養失調を防ぐことができるとしたら?そして、それがご飯を食べながら可能であると知ったらあなたは何を感じますか?

そんなキャッチコピーが聞こえてきそうな著書です。この本の主人公はNPO法人Teable For Two代表理事の小暮真久さん。
※Teable For Twoのことを略してTFTとも言う

僕がNPO社会起業家というジャンルに興味を持ち始めたのもこのTable For Twoの存在を知人が教えてくれたのがきっかけ。

本の内容は、社会起業家の生き方の一つを示してくれているような構成になっています。具体的には、TFTの組織作りや事業の回し方など。

小暮さん自身の前職がマッキンゼーだったこともあり、その時のノウハウなども書かれています。

社会起業家を目指したい!NPOに就職してみたい!という人におすすめの一冊です。

僕個人としては、あとがきの部分が非常に心に刺さりました。ぜひあとがきの部分に注目して読んでみてください。

◎読書メモ

1.5Pがビジネスでは大事

①purpose(目的・達成目標)- TFTのミッションは何か?

②partnering(提携)- どういった組織や団体とどのような形態で連携するのか

③people(人事・組織)- どんな人達を巻き込み、またどのような人を組織に入れるのか

④promotion(宣伝・広報)- ミッションや活動内容をどんな媒体でどのような手段を使うか

⑤profit(利益・成果)- どうやって事業収益を生み、目的を達成するのか

 

2.営業の基本はいかに予習できるかがポイント

営業をかける時は、相手のことをよく知っておかなければならない。拠点や支部はどれくらいあるのか?自分達と組んでどんな利益を与えることができるか?どんな事業に力を入れているか?どんなCSR活動を行っているか?

大企業では、CSR担当者を納得させるだけでなく、その担当者の上司を納得させる。材料や素材を持っていかなければならない。つまり、僕たちの見えない意思決定者がいるからその人をどう納得させるかまで考えぬかねばならない

 

3.TFTの魅力は2枚岩

TFTを導入していただける理由は、大きく分けて2つあると思います。一つ目は、お手軽な社会貢献ができるということ。二つ目は、自分自身の健康によい影響をもたらすことができること。

これらだと思っています。以前、TFTを導入した企業さんにアンケートをとってみた所。メニューのボリュームが少なく、お腹がすく!というたくさんの声をいただきました。企業の担当者様と何度もメニュー開発について議論し、そのことに関しては改善できました。その後、担当者様に言われました。

TFTがメタボの改善だけを目的としている団体であれば、ここまでできなかったでしょう。でも、アフリカの子供を助けるという大きなゴールがあったからこそ頑張れたんだと思う」

これは、TFTの魅力が先進国のメタボを改善するだけでなく、発展途上国にも利益をもたらすという2つの魅力があったからこそできたのだと思います※リブセンスも成果報酬型という斬新なビジネスモデルだけでなく、自社独自のSEO対策を開発したことが売り上げを伸ばすことができた秘訣だと村上社長は語っています

 

4.クロスファンクショナルチームを結成する

これは、日産自動車のCEOカルロス・ゴーンが日産の経営再建をする時に使われた手法。企業が抱えている問題が一部門で解決できなくなった時に、部門という垣根を飛び越えそれぞれのプロフェッショナルを招集し、その問題解決に向けて努力するチームのこと生産・営業・マーケティング・研究開発・調達・ITシステムなど。

社会問題も各企業からプロフェッショナルを集め、短期間で社会問題を取り組むということをやってみれば、また変わってくると思う。日本のオールスターなんだから

※リバティーの家入さんが目指しているのもこれに近いような気がする

 

5.自分は何もできないと認識することからスタートする

世界には、ご飯を食べる事ができない人達がいる。でも、遠い離れた国にいる僕たちは何もできることはないから、ちょっと目をつぶっていよう。こう思うことに対して僕は責めるつもりは全くありません。だってそれが普通だと思うし、僕自身もそうだったから。

遠い国でおきている問題に対して「先進国にいるあなた達が起こした問題です。どうにかしろ」と言われてもピンとはこないし、責任をとるどころか関わり方すら分からないと思います。

でもその遠い国に「どこでもドア」のような道具でつながったらどうでしょうか?遠い国の問題が少し、現実味をおびて立ち上がってくると思います。そして、ちょっとアクションをするだけで、その人達のためになることができると知ったらその問題に対して、無視をし続けることはできなくなるのではないでしょうか?

さらに、それをすることで自身のメタボも解決できると知ったら参加する人が増えるのではないでしょうか?今、まさに、カツ丼を食べようとしている人に向かって、「アフリカの子供達はお腹をすかして泣いているのにあなたは何をしているんだ!」と言われても嫌な気持ちになるだけでカツ丼もおいしく食べれないと思います。こうやって怒る人も全くの善意なのでしょう。でもこうやって「いいことをしなさい!」と言われなくたって、誰にだって「いいことをしたい」という気持ちは心の中にあるんです。

ただやり方が分からなかったり知らなかったりするだけなのです。無理矢理いいことをするんじゃなくて、こうすれば無理なくいいことができますよと教えてあげたり、その仕組み作りをすることが社会起業家なのじゃないでしょうか?

この社会には、まだまだいいことをしたくなる仕組みづくりが不足しています。何しろそこら中がフロンティアなのです。新しいことがしたい!クリエイティブなことがしたい!と思っているひとには最高な舞台です。